
“トランプ関税”で暗雲…トヨタが中国に見出す新たな活路 “中国で開発”新型EVにレクサス新工場も建設


“トランプ関税”で世界が揺れる中、中国では4月23日、「上海モーターショー」が開幕しました。トヨタは中国向けの新型EVを公開し、苦戦が続く中国市場に活路を見出そうとしています。
■“中国向け”新型EVも投入…トヨタ必死のアピールのワケ
2025年の上海モーターショーには26カ国1000社が参加しています。100以上の新型モデルが発表され、最新のEVや“空飛ぶクルマ”も展示されています。

トヨタは日本勢の先陣を切って、新型のEVを披露しました。 流れるようなボディがスタイリッシュな新型EV「bZ7」は5メートルを超える大型セダンで、1年以内に発売予定です。

「bZ7」は中国の自動車メーカーと共同開発し、現地で生産する完全に中国向けのクルマで、日本での販売予定はありません。 トヨタ中国の李暉総経理: 「もし私たちの製品が中国の消費者に支持されるのであれば、きっと世界市場でも愛されるはずです」 トヨタが必死にアピールするのは…中国のクルマがますますスゴイことになっているからです。

政府の優遇策もあってEVなのは大前提で、「知能化」と呼ばれるAIを使った自動運転などが当たり前となりつつあります。 “無重力気分”のマッサージ機能など、中国メーカーはあの手この手でアピールします。

中国市場で日本の各社は遅れをとっていて、トヨタの中国での販売台数も3年連続で前年割れです。
■中国ブランドの脅威…“世界最大”EVメーカーが日本に攻勢
会場では、2023年に日本にも進出した中国のEVメーカー・BYDが最も注目を集めました。売上高でアメリカのテスラを抜き、世界最大のEVメーカーとも言われています。

「中国ブランドが電気自動車で世界をリードします」 BYDは日本円でおよそ200万円の手頃なクラスの車でも、高速道路の車線変更などができる自動運転機能を搭載しています。今回発表した最新のシステムでは、わずか5分で400キロ分と、ガソリン給油と同じスピードで充電ができるといいます。

BYDは日本市場の攻略にも本腰を入れていて、2026年後半にも日本独自の軽自動車の規格に合わせたEVを250万円以下で発売する方針で、日本のメーカーは戦々恐々です。
■上海に新工場建設へ…トヨタ“中国市場”での巻き返しは
上海モーターショーの会場からおよそ50キロ離れた郊外には、トヨタのレクサスEV工場の建設が予定されています。

ホンダや日産などが中国での生産を縮小し、三菱自動車は撤退を決めるなど、大苦戦が続く中、トヨタはあえてレクサスのEVや電池を生産する新工場建設を決めました。 トヨタ中国の李暉総経理: 「(新工場は)レクサスが中国に深く根を下ろすという揺るぎない自信の表れであり、今後、中国のお客様のニーズに完全に専念し、より良い車をつくることを可能にします」

突然の“トランプ関税”で、稼ぎ頭だったアメリカ市場に暗雲が漂う中、中国での踏ん張りがトヨタの命運を握ります。