成功は「1000社のうち3社」スタートアップ支援する「ベンチャーキャピタリスト」役割と存在意義を解説

革新的なビジネスモデルで社会にイノベーションを起こす「スタートアップ」。そのスタートアップの成長として重要な存在となるのが「ベンチャーキャピタリスト」(VC)です。彼らはどのように考え、どんな役割を果たすのでしょうか。経済・企業ニュースサイト「中日BIZナビ」編集部の勝股大輝記者に解説してもらいます。
スタートアップの成長を支援する「ベンチャーキャピタリスト」

ベンチャーキャピタリストとは、スタートアップに資金を投資し、事業成長を支える人のこと。背景には、世界的に金融緩和が進み、スタートアップやイノベーションに投資する動きが活発になったことが挙げられます。「スタートアップは怪しい」という存在から「金融商品」として認められる業界に変わりました。
一般財団法人「ベンチャーエンタープライズセンター」の「ベンチャー白書2024」によると、国内のVCなどによるスタートアップへの投資額は2013年度に1818億円でしたが、10年後の2023年には2936億円と1000億円以上増えています。10年で1000億円以上も増加しているんです。
VCの具体的な役割

多くのベンチャーキャピタリストは、お金を集めて成長に必要な資金を投資するほか、顧客紹介や開拓をする事業拡大のためのサポート役を担っています。
金融機関による融資とは異なり、投資は返済を必要としないお金です。ベンチャーキャピタリストはスタートアップの株を取得。新規上場の際に持っている株を売却することで、利益を得ます。
今回、ベンチャーキャピタリストの伊藤仁成さんに話を聞きました。

伊藤さんは大学卒業後、証券会社に入社し株式市場への新規上場を担当。その後スタートアップやベンチャーキャピタルなどで働き、会社の起業に20年以上携わっています。
伊藤さんが支援したいと思うのは「地域の課題を解決することを目指す起業家」。自ら理念に合致して支援を続けている、知多市の農場「トクイテン」を取材しました。

トクイテンは、ロボットやAIなどを活用して有機農業の自動化を目指しています。
トクイテン 豊吉 隆一郎社長:
「農業が好きなメンバーが集まっているんですけども決して肉体労働がしたいわけでなくロボットで置き換えて楽しい農業を目指しています」

トクイテンが数千万円をかけて開発している収穫ロボットです。ロボット自ら収穫時期となったミニトマトを見分けて、吸い取るように収穫していきます。またハウス内のセンサーが室温の変化をキャッチし、自動で窓や天井の開け閉めなどをできるようになっています。
伊藤さんの支援について豊吉さんは「プレッシャー、責任感は出ますが、投資家の方は我々に期待しています。仲間が増えたという力強さ、心強さを感じます」と話します。
成功するのは1000社のうち3社

MTGVentures 伊藤仁成代表パートナー:
「何もない状態から、実業家と一緒に実現していく仕事。上場するかたちで実現すれば、やりがいしかないです」
ただ、スタートアップが成功するのは厳しい世界。業界ではスタートアップが成功するのは1000社のうち3社といわれています。

厳しい世界の中で、ベンチャーキャピタリストの仕事の醍醐味について伊藤さんは、「起業家の目標達成のために一緒に応援しようと思って伴走し、成長支援していく。ここが腕の見せ所だ」と話します。
伊藤さんをはじめとしたベンチャーキャピタリストの支援を受けて、世界で活躍するスタートアップが1社でも多く出ることを期待したいです。
(2025年4月21日放送 中日BIZナビ共同企画「東海ビジネススコープ」より)