
企業や個人が「制服オーナー制度」で進学を応援 困窮家庭の子どもに制服購入費を最大13万円まで支援 “リユース販売”や“レンタル”とは異なる新たな支援の形

「制服代が払えない」そんな家庭の子どもたちを支える新しい仕組みが注目を集めています。岐阜県のNPO法人が始めた、リユース品の販売やレンタルとは一線を画した支援の形。すでに予想を上回る反響があるようです。
制服代が家計を圧迫 企業と個人が支える子どもの未来

長引く物価高で生活費がかさみ、日々の暮らしで精一杯の家庭にとって、子どもの進学時にかかる費用は家計への大きな負担となっているようです。
中でも、多くの家庭が頭を悩ませているのが「制服代」です。
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施した、2025年4月に中学や高校に進学予定の子どもがいる世帯へのアンケート調査では、入学準備で費用を用意するのが難しいものは「制服代」が最多に。2022年の調査開始以来、毎年高い割合であげられているということです。
こうした社会背景を受け、リユース制服の販売やレンタルといった取り組みも広がりつつありますが、中にはリユース品であっても購入が難しいほど経済的に困窮している家庭も。
そんな中、岐阜県多治見市で子育て支援などを行うNPO法人Mama's Caféが、全国でも珍しい「制服サポートプログラム」という取り組みを始めました。
「制服サポートプログラム」とは、企業や個人が「制服オーナー」となり、経済的に不安を抱える家庭の子どもたちに、新品の制服購入費用を最大13万円まで支援するもの。
支援金で購入できるのは制服だけでなく、指定カバン、指定シューズ、体操着一式まで含まれます。
対象は、多治見市か土岐市に住民票があり、2026年4月に中学・高校の新1年生になる子ども。
卒業後はMama's Caféが制服を引き取り、リユース制服を必要としている家庭に届けられます。
「頼るところがない」切実な声 想定を超える反響で広がる支援の輪

Mama's Caféは、2022年からリユース制服の販売やサブスク制度(定額制レンタル)を展開してきました。この取り組みは徐々に浸透し、現在は多治見市内の中学校に入学した1年生の約1割がリユース制服を選択するまでになり、需要は3年で約5.7倍に増加したといいます。
しかし、リユース品でも購入できない家庭がある現状を目の当たりにし、リユース制服の販売やサブスクとは異なる新たな支援として「制服サポートプログラム」をスタート。
初年度の募集人数は10人としていましたが、9月18日時点で応募者は34人に。制服オーナーも当初の目標を超える12の個人や企業が名乗りを上げているため、支援する枠を増やす予定だということです。
支援を希望する人に行ったアンケートでは「母子家庭で、親の介護もしているため収入が乏しく、物価高騰も重なり生活が困窮している」「ひとり親で、両親もいないし兄弟も亡くなって、頼るところがない」「貯金を切り崩しながら生活している状況なので、助けていただけるのはありがたい」など、切実な声が寄せられました。
経済的な理由で子どもたちの進学に影響が出ないよう、社会全体で支える仕組み「制服サポートプログラム」。新品購入以外の選択肢の一つとして、今後さらなる発展が期待されます。
支援を希望する人の応募締切りは9月30日まで、制服オーナーは1口13万円から随時受け付け中。詳細はMama's Caféの公式HPで確認できます。