
ノーベル賞の陰に“伴走者”の愛があった 坂口志文夫妻をはじめ科学者を支え続けた妻たちの知られざる絆


ノーベル賞の舞台裏には、受賞者を支えた妻たちの物語がありました。坂口志文さんをはじめ、共に研究に励み人生を共に歩んできた“科学者夫婦”たち。互いを高め合う絆が、世界を動かす発見を生んでいました。
■ノーベル賞を支えた“伴走者”の存在
2025年のノーベル生理学・医学賞に選ばれた大阪大学特任教授・坂口志文さんを支えてきたのは、妻・教子さんです。 坂口志文さん: 「家内の方が器用ですので、細かい実験は任せておける」

医師であり研究者でもあった教子さんは、研究拠点をアメリカに移した後も実験をサポート。ノーベル賞を引き寄せた制御性T細胞の働きを突き止めた際の論文でも連名で発表するなど、長きにわたって共に歩んできたパートナーでした。 2014年に物理学賞を受賞した名古屋大学教授・天野浩さんの妻・香寿美さんは、授賞式の日に天野さんに代わって記者の問いかけに対応するなど、朗らかな人柄で注目を集めました。 また、岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデで研究を重ね、2015年に物理学賞を受賞した梶田隆章さんの妻・美智子さんも、常に控えめで丁寧な受け答えが印象的でした。
■85万匹のクラゲに挑んだ夫婦の絆
ノーベル賞を引き寄せた夫婦は、他にもいます。 2008年にオワンクラゲから緑色蛍光タンパク質を見つけ、化学賞を受賞した下村脩さんが実験に使ったクラゲは、なんと85万匹。その採取を共に行ったのが妻・明美さんです。

明美さんは、大量のクラゲを捕まえるだけでなく、1万匹を手で採って処理し、タンパク質の生成という重要な作業を担っていたという逸話が残っています。 明美さんは、下村さんが助手を務めていた長崎大学の卒業生であり、下村さんと研究を共にしてきた同士でもありました。 さらに、2016年に細胞の仕組み「オートファジー」の研究で生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんと妻・萬里子さんは、東京大学大学院の同じ研究室に所属していました。

共同研究者として重要な役割を果たした萬里子さんは、2人の息子を授かった後も大学教授を務めた生物細胞学者でした。 夫婦で積み重ねた日々が、やがて世界を変える発見へとつながったのです。 2025年10月10日放送