30年経った今も信者をマインドコントロールか オウム真理教の後継団体「アレフ」の実態

オウム真理教による地下鉄サリン事件から3月20日で30年です。公安調査庁によると、後継団体「アレフ」では、麻原元死刑囚の音声を使い、かつての教義をもとに活動しているといいます。信者の脱会を支援する団体に「アレフ」の実態と注意すべき点を聞きました。

地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさん:
「長い30年の1つの節目として、献花をさせていただきました。テロ事件を起こしたオウム真理教とずっと戦っている。本当はこんな人生ではなかったのに、と思うと悔しい思い」
1995年3月20日、都内で発生した「地下鉄サリン事件」。30年前にオウム真理教が起こした同時多発テロ事件です。「地下鉄サリン事件」では14人が死亡し、6千人以上が負傷しました。
事件発生から2か月後・・・
記者:
「麻原です! 麻原容疑者を乗せた車がパトカーに先導され、警視庁に入ってきました」
オウム真理教の元代表、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚が逮捕されました。そして、事件発生から23年後の2018年、松本元死刑囚と教団の元幹部など13人の死刑が執行されました。
その後、オウム真理教は「アレフ」と名前を変え活動していましたが、信者同士の対立が深まるなどして「ひかりの輪」「山田らの集団」の3つに分かれました。

こちらは2月、公安調査庁が法律に基づく調査の為、都内にあるアレフの施設に入った際に撮影した写真です。施設の中には、松本元死刑囚の写真があります。
このほか水が入ったタンクも確認されました。公安調査庁によりますと、アレフはこのタンクに入った水に松本元死刑囚が唱えた呪文を電気信号化し、注入したと主張しているということです。
公安調査庁は、名古屋も含めた全国18カ所にあるアレフの施設の調査を続けていて、その全ての施設で松本元死刑囚の写真などを確認しているということです。

3月6日、愛知県警は後継団体の実態などについて周知を図ろうと、アレフの名古屋施設がある名古屋市中区でチラシを配りました。愛知県警によると、アレフは現在も東海地方で活動を続けていて、教団名を伏せて勧誘を行っているとみられています。
愛知県警中警察署 永井薫警備課長:
「(後継団体は)ヨガサークルや心理学サークルなどを装って接近している。オウム真理教は過去に無差別大量殺人事件を起こした団体であり、(後継団体は)今でもその教義をもとに活動しています」

信者の脱会を支援する楠山泰道さんです。数年前にアレフの元信者から提供を受けたというCDに収録されていたのは・・・
元信者から提供を受けたCDの音声:
「麻原彰晃です。さぁあなたはいよいよ入会なさいました。実践するぞ、実践するぞ、実践するぞ。と、3度決意しましょう」
日本脱カルト協会 楠山泰道さん:
「(アレフが)危ないというのは(オウム真理教)当時の教義を未だにひいているのと、オウム事件を知らない若い人たちに、陰謀論として『あれはオウムの仕業じゃないんだ』ということを平気で言って入会させている」
問題なのは教義や勧誘方法だけではないと楠山さんは指摘します。見せてくれたのは、元信者から提供を受けたというアレフの運営規則です。
日本脱カルト協会 楠山泰道さん:
「在家会員は本団体に関わる決議権は有しない」
運営規則には施設で共同生活を送る「出家」信者しか団体の意思決定に関わることができないと書かれていました。
日本脱カルト協会 楠山泰道さん:
「出家をさせることによって、社会と切り離す。そして情報のコントロールをして、自分たちに不利な情報は中に入れない。マインドコントロールに入っていれば、世の中を救うんだ、人を助けるんだ、といって起こる犯罪があるわけですよ。これがカルトのマインドコントロールなので、本人たちは悪いことをしているとは思わない。いいことしていると思っているわけですよね。そこに怖さがある」
30年たった今も、教団は信者を世間から隔離させてマインドコントロールをしているのではないかと楠山さんは指摘しています。

アレフを巡っては、構成員の氏名や資産などを公安調査庁に報告しなければならないことが団体規制法で定められています。しかし、公安調査委員会は「アレフは構成員や資産の報告義務を十分に果たしておらず、無差別大量殺人に及ぶ可能性の程度を把握するのが困難」と判断しました。
これにより、全国にある教団施設のうち、16カ所の使用などを禁止する再発防止処分の適用期限を3月21日からさらに半年間延長しています。今も施設内の一部の使用が禁止されている名古屋施設について、楠山さんは注視すべきと話します。
日本脱カルト協会 楠山泰道さん:
「信者たちが、弁護士を立てて(施設が)使えるように裁判を起こしている。(信者が)名古屋に集結している事実がある。施設のまわりにアパートを借りている信者たちが多いということと、そこに集まることによって、また色んな事件や問題が起きてくるのではないかと思うので、そのあたりは気をつけていかないといけないことだと思いますね」
テレビ愛知では、アレフに勧誘方法や教義などについて問い合わせましたが、21日午後4時までに回答はありませんでした。