愛知・篠島で釣れる、1匹3万~4万円の高級魚!一本釣りから豊洲市場→高級寿司店に並ぶまでを密着
知多半島の先端に浮かぶ愛知の離島「篠島」。春と秋の名物は“海の宝石”とも呼ばれる生シラスですが、夏になるとシラスを超える高級魚が水揚げされることもあるとか。今回はその正体に迫ります!
噂の魚の正体とは、夏に旬を迎えるスズキだった
閑散とする日中の篠島港。漁師のみなさんはどこに?
篠島漁港を訪れると、辺りは静まり返って人影もなし。実は漁師たちは夜にスズキ漁へ出るため、日中は休んでいるといいます。
夜に狙う篠島の高級魚、その正体はスズキだった!
夜行性のスズキは夏がまさに旬。脂がたっぷり乗り、鯛を上回る価格で取引されることもある高級魚なんです。一本釣りで大切に扱うのが鉄則で、1匹3万から4万円もの値が付くこともあるのだとか!
島に数人だけ!“腕利き漁師”だけが釣る高級魚スズキ
難易度の高さからスズキ専門の漁師は、島の中でも数人だけ
訪ねたのは、篠島でも評判の「宝守丸」に乗る利根守さんです。スズキ漁を専門に行う漁師は島に数人しかおらず、利根さんはその中でも選ばれた腕利きの1人です。
餌には篠島周辺に生息するウタセエビを使っています。生きたエビを用いることで、竿先のわずかな反応からスズキがかかったことを察知できるのだそうです。
あまりに高級でもったいないので、食べたことはほとんどないのだとか
スズキ漁で得た稼ぎで、利根さんは“スズキ御殿”とも呼べる豪邸を建てました。しかし、自宅で食べることはなく、すべて市場に出荷されます。漁師でもなかなか口にできない、まさに超高級魚が篠島のスズキなのです。
闇夜の中でダイナミックに行われるスズキ漁に同行
ほんの小さな動きを察知する、熟練ならではの指先の感覚
午後6時半、船で篠島を出発。20分ほどで漁場に到着します。釣り開始は魚影は少なくなっており、5匹・6匹も釣れれば上出来とのこと。ライトは最小限に、闇の中で竿の感覚を頼りに挑みます。
ヒットが連続! 闇夜でダイナミックに釣り上げる姿は圧巻
やがてスズキが続々とヒット! 一瞬で竿を操り釣り上げる姿はまさに職人技です。結果、この日は6匹をゲット。翌朝には篠島市場の競りに並びます。
高値で競り落とされるスズキ、その流通経路を追いかける
「篠島のスズキは日本一」と語るヤマシン商店・天野さん
午前10時、市場で競りが始まる前から仕入れ業者の姿が。 地元の「ヤマシン商店」の大将・天野峰夫さんは、「水揚げされた50匹のうち約3分の1は買いたい」といいます。最終的に高級な飲食店では、1匹15万から20万円の料理として扱われるほどの価値になるそうです。
南知多町でトラックに預けられ、東京の豊洲市場へ直送
競り落とされたスズキは生かしたまま出荷され、知多半島を経由して東京・豊洲市場へ。豊洲市場の競りで落とした仲卸「串田水産」を通じ、名店へと運ばれていきます。
篠島から300キロ!辿り着いた先は名店・初音鮨
年末まですでに予約いっぱいの超人気店「初音鮨」
行き着いた先の1つが、ミシュラン2つ星を10年連続で獲得する「初音鮨」。親方が海外にいる間は、若手職人・芳池さんが腕を振るいます。
絶妙な手仕事が生む、篠島スズキの格別のおいしさ
利根さんが釣り上げた篠島のスズキは、1週間じっくり熟成。篠島のスズキをしっかり味わうにぎりと、皮目をレアに仕上げたにぎりは、脂の旨みが凝縮された極上の2貫。これぞ篠島が誇る“幻の夏の味覚”です。