【運転席に潜入】線路の先には何がある?鶴舞線・丸の内駅~赤池駅
毎月第1土曜日の午後にテレビ愛知で放送中の『日経プレミアム 工場へ行こうIII』の制作陣がお届けする、珠玉の電車企画!名古屋市営地下鉄の鶴舞線を走る回送列車の運転席に特別にカメラを設置し、普段は見られない前面展望を撮影しました。洞窟のような線路は不思議なモノがいっぱい!そして、長く続く線路の先には何があるのか? 名古屋市交通局の野村正臣さんの解説とともにお届けします。
地下鉄の線路はアップダウンの連続!そのワケとは?(丸の内駅~大須観音駅)
鶴舞線のトンネルの中を走行する回送列車。丸の内駅を出発して間もなく見えてきたのが伏見駅にはホームにはたくさんの人が並んでいます。これから家に帰る方々ですね。皆さん、お疲れ様です。
地下鉄の線路はまるで洞窟のような神秘的な空間。まるで探検しているかのような不思議な感覚になります。伏見駅を出発すると、地下鉄はいったん坂を上がっていきます。そして暫く走っていると、大須観音駅のホームに近づいたところで下り坂に。地下に出来た不思議なアップダウン、いったいその理由は、何なのでしょうか?
その理由は地下鉄の工事の方法にありました。地下鉄の工事では地上から掘り進めてトンネルが造られますが、野村さんによるとホームの部分は改札口などのスペースが必要となるためどうしても深く掘る必要があるそうです。しかし、全て深く掘っていくのはとても大変。そのため、何もないところは浅く掘って行き、駅と駅の間にアップダウンが出来るということなんだそうです。
地形にもよりますが無駄に深く掘る必要も無いことから、多くの場所でこのような形になっているとのことでした。
コンクリートの壁しか見えない急カーブ!さらに鶴舞駅手前では秘密の線路を発見!(大須観音駅~鶴舞駅)
大須観音駅を通過すると、見えてきたは何とコンクリートの壁!
あまりに急なカーブなため、このように壁が迫っているように見えるのだそうです。この場所は西大須の交差点の真下にあたるところ。北からやってきた地下鉄が、まさに左へ曲がるような形で交差点を曲がり、東方向へと走っていきます。
自動車と違って電車の場合には交差点を小回りで左折という訳にはいきませんので、交差点をものすごく広く使って左に曲がっていきます。再びアップダウンを繰り返しながら走って行く回送電車。すると、鶴舞駅の手前で駅の手前から右と左に伸びる線路を発見します。いったいこの先に何があるのでしょうか?
その答えは『モーターカーを停められる場所』。モーターカーとは営業が終わった後に線路や架線の点検を行うための特殊車両のことで、以前は鶴舞駅のこの場所が保守基地として使われていたと野村さんが教えてくれました。
現在は保守基地としての機能は別の場所に移転しているそうですが、今でも一時的な置き場所として使われています。
四角いトンネルが丸くなる!? 階段の先には街並みに溶け込む超重要施設が!(鶴舞駅~いりなか駅)
地下鉄鶴舞線のトンネルの形は四角形が基本。しかし、鶴舞駅を出発すると四角いトンネルの形が丸いものへと変わります。
突然トンネルの形が丸くなった理由は、鶴舞駅~荒畑駅間の線路が通っている場所の“地上”にありました。
地下鉄の工事は地上から掘り進めていくことが多いのですが、鶴舞駅~荒畑駅間は鶴舞公園や民家の下を通るっているため地上から掘り進めることができません。そのため、この区間はシールドマシンという専用の機械を用いた『シールド工法』で、地面の中を横に掘り進めて造られたそうです。
シールド工法の場合には丸いシールドマシンの形に合わせてトンネルも丸くなるとのこと。工事の方法の違いがトンネルの形の違いとして残っているというワケですね。このような場所は他にもいくつかあり、同じように住宅街の下を通っている川名~いりなか間も丸いトンネルとなっています。
そんな丸いトンネルを進みいりなか駅に近づいていくと、右手前方に階段を発見!
この階段は換気所に出入りするための出入り口。換気所に設けられた大きな送風機と、空気を出し入れする換気口が設置されています。地下に新鮮な空気を送るための非常に重要な施設です。
そんな地下鉄の超重要施設、階段を上った先の地上にもあるのですが……どこにあるか分かるでしょうか?
正解はココ。
街並みに溶け込ませ、パッと見ただけではわからないようなっていました。皆さんは分かりましたか?
かつての終点に秘密の線路を発見!そして列車は線路の先へと到着(いりなか駅~終点)
八事駅の手前にも秘密の線路を発見。上りと下りの間に側線が延びています。
この場所は電車を止めておくことができるという留置線。野村さんによるとかつての鶴舞線は八事駅が終点だったため、列車を止めておく留置線が設置されているそうです。この留置線は今でも営業した電車が翌朝出ていくための停車場所として使われています。
回送列車は順調に進んでいき、いよいよ鶴舞線の終点で赤池駅へ。赤池駅を通過すると、すぐに線路が二股に分かれています。
真っ直ぐ進んでいくと豊田市方面に向かうことになりますが、回送列車は左側へと進んで工場の中へ。さらにその先で4つに分かれてる線路の一番左側へと進み、検車工場へと向かっていきます。そして今度は線路が6つに分かれたポイントで一旦停止。ここまで運転してきた回送の運転士さんから車庫の中を担当する運転手さんに交代し、いよいよ地下鉄は検車工場の中へ。ここが回送列車の線路の先、終点です。
検車工場は列車検査や月検査などはじめ、必要な検査がいろいろと行われています。めったに見られない光景、やはりかっこいいですよね。
線路の先には何がある?
魅力に満ち溢れた線路の旅へご案内!テレビ愛知のレギュラー番組『工場へ行こうIII』の制作陣がお贈りする珠玉の電車企画。9月23日(木・祝)に放送された後、Locipo、GYAO!、Youtubeにて配信中
【放送局】テレビ愛知
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/senro/
【配信】Locipo YouTube
※記事の内容は放送当時のものです。