水没が危険なラインの目安は「タイヤの中心」大雨災害への備え、車の退避・脱出方法は

三重・四日市市の大雨被害復旧が続いています。水没した駐車場では約300台の被害が確認されました。いつどこで起きるかわからない大雨災害。万一の備えは。
先週12日、観測史上最大となる1時間あたり123.5ミリの大雨が降った三重県四日市市。3連休が明け復旧作業が本格化しています。
大量の雨水が流れ込んだ近鉄四日市駅東口の地下駐車場では、地下2階部分の冠水がおおむね解消し、調査が行われました。
新たに約100台が水没していたことが判明し、地下1階部分の約180台と合わせて、300台近い車が取り残されていたことがわかりました。
今回の大雨の被害。地下駐車場がある東口だけでなく、西口の鵜の森地区も大きな被害を受けました。
この地区は2019年9月にも冠水しました。外壁には、2019年の水位が記録されていますが、今回はその時の水位を上回っています。建物の1階にある居酒屋は、床上浸水しました。
「本当に一瞬の出来事。排水が逆流してきて、あれよあれよという間に前の道の水が増えてきて、車が通るたびに店の中に波のように入ってきた」(居酒屋「桜や」原田さとみさん)
当時は営業中でした。漏電の恐れがあるため、電気を消した状態で片付け作業を進めました。
そして、いまだに街中で見かけるのが立ち往生した車。
「動けなくなった車のレッカーサービスが今到着しました」(記者)
「この前の冠水でつかった車で、この辺りの車を全部移動させている。この先何台あるか分からない」(レッカー作業を担当)
居酒屋「桜や」の店主の車も水に浸かりました。
「うわっ、すごい…むんむん。シートも濡れている…かわいそうに。まだ4年弱だったのに」(原田さん)
突然の大雨から車と身の安全を守る

短時間に、大量の雨が降り注ぎ、街なかに水があふれた今回の大雨。同じことは、四日市市以外でも起こる恐れがあります。
突然の大雨から、車そして身の安全を守るには、どう行動すればいいのでしょうか。
対策を教えてもらうために、訪れたのは「JAF愛知支部」。
まず1つ目は「車の避難場所の確認」です。
「大雨が降る前に一時的に逃げる場所を普段から知っておくということが大事ですね。(Q.車を退避させる場所の候補は)災害協定を結んでいる企業の立体駐車場や公的な一般的な避難場所へ車を退避させていただければと思う」(JAF愛知支部 広報担当 吉田英治さん)
普段、車を止めている場所が浸水する恐れがあるという人は、雨雲レーダーをチェックして、雨が近づく前に車を避難させるのがポイントです。
続いて教えてもらったのは「水没すると危険なライン」。
「だいたい、車のタイヤの中心までが危険なラインだと思っていただければと思います。ちょうどこの線が(フロアライン)になるので車種によってはコンピューターがある、床の下には電装品の配線とかがあって、それが最悪ショートしてしまう可能性があるので」(JAF愛知支部 吉田英治さん)
車を退避させる判断の目安となるのが、水かさが増えて「道路の白線が見えなくなったとき」です。
万が一走行を続ける場合は――。
「中央分離帯に近い方が高く、路肩に向かって水が流れるように構造的にできているので、車の中央を走行していただければ数センチ(の高さ)は稼げるのかなと」(吉田さん)
そして、立ち往生した場合、ドアも窓も開かなくなってしまうことも。そんなときに備えておきたいのが「緊急脱出用のハンマー」です。
今回は、厚さ5ミリほどのガラスで実験します。使うのは、押し当てるだけでガラスを割れる“ポンチタイプ”と呼ばれるハンマーです。
「少し力を入れただけですが、あっという間に粉々に割れてしまいました。女性でも力をそこまで入れず割れるような気がします」(女性アナウンサー)
ハンマーはホームセンターやカー用品店などで1千円前後で購入できるものもあるといいます。