
住宅街のプレハブに行列…週1営業の“塩パン専門店” 10種類以上の製造・販売を1人でこなす女性店主の才覚

三重県桑名市の住宅街に、週に1日だけオープンする小さな塩パン専門店があります。プレハブ小屋で女性店主が焼くのは、あんバターや明太大葉など10種類以上の塩パン。素材と製法にこだわり、行列ができるほどの人気店となっています。
■週に一度だけ開くたった2坪の“塩パン専門店”
三重県桑名市の住宅街にある、青いプレハブが目印の塩パン専門店「ヒラノベーカリー」。
客: 「塩バターあんパンが好き」 別の客: 「ベーコンチーズ塩パン」
10種類以上の塩パンを販売するユニークな店です。約2坪の小さな店内では、店主の平野成実さん(31)が製造から販売まで1人でこなしています。しかも、営業は週に1回・金曜日だけです。
客: 「金曜日だけですし、売り切れたら終わりって感じなので」
■素材と製法へのこだわり
こだわりのパン作りをのぞかせてもらいました。小麦粉などをボウルの中へ入れたところで取り出したのは、さとうきびから作られたミネラル豊富な砂糖「きび和糖」。 平野さん: 「グラニュー糖とか白いお砂糖より、柔らかい甘みになる」
配合した粉に加えるのは“生乳100%”の牛乳。一般的にパン作りでは水を使いますが、平野さんは牛乳にこだわっています。 平野さん: 「牛乳のコクとバターのコク、乳製品のコクを合わせることで統一感が出ると思って、生地は全部牛乳で仕込んでいます」 こねた生地は冷蔵庫へ。温度を10度~12度ほどに保ちながら、約12時間かけて発酵させるのも特徴です。
平野さん: 「低温長時間発酵させることで、固くならない生地に仕上がります。焼いた次の日でも柔らかくて食べやすい」
■深夜2時から仕込み…6時間かけて焼き上げ
金曜日の午前2時過ぎ、寝かせた生地を持って隣の自宅からプレハブへ。週に一度の開店に向けて準備が始まります。
寝かせた生地を平らにして、たっぷりあんことバターをのせた「あんバター塩パン」(250円)に、キャラメルチップを散りばめた「キャラメルバター塩パン」(280円)。
そして、しらすに大葉とバターをのせた「しらす大葉チーズ塩パン」(280円)、「明太大葉塩パン」(280円)など総菜系の塩パンも豊富です。 6時間以上かけて、手際よく焼き上げていきます。
正午にオープンすると、さっそく友人から評判を聞いたというお客さんが来店。 客: 「金曜日だけやっているお店があるって(聞いて)」 別の客: 「タイミングが良いと買えます。今日は早く来られたので良かった」 昼食用にパンを購入した近所の常連客に、生地の上にベーコンとバターをのせて焼き上げた「ベーコンチーズ塩パン」(250円)を味わってもらいました。 客: 「少ししょっぱい感じでおいしいです」
塩パン以外の人気メニューは、「焼きカレーパン」(250円)です。豚のひき肉に玉ねぎとニンジンを加えて炒め、ケチャップとソースでコクと旨み、酸味を加え、最後にカレーのルーを入れて煮込みます。
生地で包み込み焼き上げれば、具がたっぷり詰まった絶品カレーパンの完成です。
■イベント出店もスタート…小さな店から広がる温もり
午後3時を過ぎると、学校帰りの子どもたちがやってきます。 子ども: 「外はカリカリで中はフワフワで甘くておいしいです」 ワッフル型にクロワッサン生地を焼いた「クロッフル」(150円)は子どもたちに大人気。
常連客: 「欲を言えば、平日にもう1回オープンしてほしい」 そんな声を受け、最近ではイベントにも出店。この日は愛知県春日井市の商業施設で販売していました。 客: 「インスタで拝見しておいしそうと。冷凍できますとか言っていたので、いっぱい買っちゃおうかな」
塩パンの豊富なラインナップに、皆さん驚きの様子です。 客: 「絶対食べすぎる。悩むのはメロン塩パン」 別の客: 「子どもも好きで、珍しいのがいろいろあるから、食べてみようかな」 出店はイベントだけではありません。三重県鈴鹿市の養鶏場「クマザワタマゴ」でも販売しています。
客: 「学校から帰ってきた子どもに食べさせようかな」 平野さん: 「桑名といえば塩パン専門店あるよねとか、桑名の名物になれるようなお店を作っていきたい」
週に一度・金曜日だけオープンする塩パン専門店。笑顔の輪が、小さなプレハブから今日も広がっています。 2025年11月5日放送





