
入荷に遅れ“備蓄米放出”の現状は? 小売店には1割程度しか届かず 品質検査の影響も

政府が放出した備蓄米、その行方はどうなっているのでしょうか。小売業者にはしっかりと届いているのか、現状を確認していきます。
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実は、なかなか小売店まで届いていないのが現状です。最初の備蓄米21万トンの行方を見ると、JAなどの集荷業者にはほぼ行き渡っています。しかし、卸売業者には4割弱しか届いておらず、前回2週間前の調査と比べてもわずか4%しか増えていません。
JAとしてはもっと卸売業者に送り込みたいものの、卸売業者側が一気に来られても処理できないため、制限をかけている状況です。さらに、卸売業者から外食向けは1割を切る約8%、小売店向けも約13%と、2週間前の数字から変わっていません。つまり、卸売業者からも小売りなどに行き渡っていない実態が見えてきます。
競争入札と随意契約、出荷状況に大きな差
小泉大臣が担当した随意契約のお米についても、流通に問題が生じています。岐阜市のコメの卸売業者「ギフライス」の例で見てみましょう。
競争入札のコメについては、1回目の36トンはすでに出荷済み。2回目の240トンについては、先月29日時点で120トンが入荷していましたが、今日時点ではほぼ倍になっています。3回目の150トンについても、先月29日では全く精米できていなかったものが、今日時点では半分まで進んでいます。
一方、随意契約の方は、精米委託が先月29日の時点で3社だったのが今日時点で1社増えただけで、今月上旬に販売予定だったにもかかわらず、今日時点でまだ入荷すらしていない状況です。
随意契約のお米が届かない理由は主に3つあります。まず、小売りからの精米委託が難しいこと。次に流通網がパンクしていること。さらにメッシュチェックという品質検査が必要なことです。
特に随意契約のお米は古い米であるため、カビなどが発生していないか確認する必要があり、そこで手間取っています。現状は通常運行ダイヤに臨時列車が走っているようなもので、この遅れがいつ解消されるのかが課題となっています。