「お金を貸してほしい」強殺容疑の男が事件直前に知人にもらす “美人局”を計画した若者3人の人物像とは… 名古屋・栄のホテル強盗殺人事件

名古屋・栄のホテルで32歳の男性が殺害された強盗殺人事件は、発生から1週間あまりが経過しました。男性はなぜ殺害されたのか。容疑者3人の関係性や事件の背景が徐々に明らかになってきました。
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深夜、人けのない名古屋・栄の街を歩く2人の男女。肩を寄せ合い、親しげに会話する様子も。男性はこの直前、同僚に「とんとん拍子に女性とホテルに行くことになった」と伝えていました。
防犯カメラの映像からは、2人がホテルの方向へまっすぐ歩いていく様子が確認できます。時刻は今月7日の午前0時38分。この映像からわずか30分ほどの間に男性は殺害され、女はのちに強盗殺人の容疑者として逮捕されることになるのです。
名古屋の繁華街、栄4丁目のホテルの一室で32歳の男性が首を絞められて殺害され、腕時計などを奪われた事件。金に困った若者らが「美人局(つつもたせ)」を計画したことが事件の発端になったとみられることが分かってきました。
容疑者はこの3人。恐喝の疑いで逮捕された指示役の男と、強盗殺人の疑いで逮捕された実行役の男女2人。
“指示役の男”と“実行役の女” 毎日一緒に行動か
3人はいずれも、事件現場となった栄4丁目の通称「女子大エリア」などを拠点に、ホストクラブに客や従業員を紹介する「客引き」や「スカウト」をしていたとみられます。
「美人局」を計画したのが愛知県春日井市の波多野佑哉容疑者23歳。
幼少期は空手に励んでいたという波多野容疑者。
最近はホストの客引きとして、ある人物と一緒に行動する姿が目撃されていました。
(波多野容疑者を知る人)
「そこ(池田公園周辺)にいるから、この辺の人はみんな顔は知っている」
「(Q:女とも一緒にいた?)毎日一緒に行動していた」
この女が、被害者の男性をホテルにおびき出し、強盗殺人の疑いで逮捕された19歳の容疑者とみられます。
先週、女の母親が取材に応じました。
(女(19)の母親)「事件の直後に家に帰ってきていて。『よくこの事件のこと聞くな』と思っていたが、まさか本当に(事件に)関わっているとは思わなかった」
母親に、殺害現場にいたことを打ち明ける
女は事件の1週間前から家出をしていて、事件があった日の夕方に帰ってきたといいます。
女はその3日後、客引き仲間とみられる少年に連れられ、栄の池田交番に出頭。警察の事情聴取を受けた後、母親に殺害現場にいたことを打ち明けました。
(女(19)の母親)「本人は怖くて、現場の方を見ずに壁を向いていて、『怖かった』ということしか言わなかった」
現場にいたものの殺害には関与していないと話したといいます。
(女(19)の母親)「事実として現場にいたのだから、『あんただけ罪が軽くなることは絶対ないと思う』と言った。人が良過ぎた子であったと思う。人の道を外れないように考えて育ててきたつもりだったが、現実問題こういうことになっていて、育て方を間違えたか、私が親失格だったかな…」
女とともに強盗殺人の疑いで逮捕された名古屋市中川区の加藤伶音容疑者20歳。
女と被害者の男性がホテルに入った直後に同じ部屋に入り、男性の首を絞めて殺害した実行犯とみられています。
逃げた従業員の返済を肩代わり…お金に困っていたか
(YouTubeより)「お金持ちになりたい。でもでも、計画あるのに資金が全くない」
ホストのスカウトをするかたわらラッパーとして自分の曲をSNSに投稿したり、ライブハウスで披露していたりしていた加藤容疑者。事件の前、知人にある相談をしていました。
(加藤容疑者)「お金を貸してほしい」
知人によると、加藤容疑者がホストクラブにあっせんした従業員が店の金を持ち逃げし、400万円以上の返済を肩代わりさせられていたといいます。金の工面に困っていた加藤容疑者に波多野容疑者が美人局を持ちかけたのが事件の発端とみられます。
(加藤容疑者を知る人)「(ラッパーとして)名古屋のいろいろな会場でライブしていた。優しかった。ご飯おごったりしてくれた」
美人局で金を脅し取るつもりが、強盗殺人という取り返しのつかない結果を招いた今回の事件。被害者の男性はホテルに入ってからわずか10分ほどの間に殺害されたとみられますが、密室で何があったのか。警察が詳しく調べています。