自慢は“鮮度” 東邦ガスの“クール”なサーモン 愛知・知多市のガス工場で陸上養殖

工場育ちのサーモンがスーパーへ。知多半島の工場で養殖されたサーモンが店頭に並ぶ日を迎えました。
「名古屋市内のスーパーの鮮魚売り場には、鮮やかなオレンジ色のサーモンが並んでいます。表記を見ますと、“愛知県産”とかかれています」(石神愛子アナウンサー)
店頭に並ぶ一見、普通のサーモン。実は――
「この大きな水槽の中で養殖されていたんです。その場所というのが、巨大なドーム型のタンクがある東邦ガスの工場なんです」(石神アナ)
東邦ガスが取り組んでいるのが、自社ブランド「知多クールサーモン」の陸上養殖です。
でも、なぜガスの会社がサーモンなんでしょうか――
そのカギは、ブランド名にもある「クール」。
約6年前から実証試験を開始

大きなドーム型のタンクには、-162℃まで冷やした液体の天然ガスが入っています。
この液体天然ガスを気化して都市ガスにするのですが、温めるのに使われるのが大量の海水です。
「熱交換」のしくみで海水は熱が奪われ、20℃以下になるといいます。
「LNG冷熱を活用することで、電気代を抑制できているのが特徴」(東邦ガス 事業開発部 木村徳博 次長)
この海水を低水温で育つサーモンの養殖に活用しようと、約6年前から実証試験を開始。
40cmほどの大きさとなり、5月から6月中旬までに東海3県中心に大手スーパーに向けて、1日約1000匹を出荷する予定だということです。
担当者イチオシの味を確かめるため、早速、お刺身でいただきます。
「サーモンのうまみも感じられつつ、脂もさっぱりしています。魚臭さも全くなく、おいしいです。食べやすい」(石神アナ)
東邦ガス工場から約3日で店頭へ

本格的な出荷を迎え、名古屋市内のスーパーにはサーモンがずらり。
実証試験で販売した時に、お客さんの反応が良かったことと、“地産地消”の観点から、愛知育ちのサーモンの販売を決めました。
「愛知県産」のメリットは――
「ノルウェー産のサーモンだと、約1週間到着までにかかっています。それが知多クールサーモンだと、約3日間で店舗・客のもとに届く」(ユニー 鮮魚バイヤー 山本一実さん)
鮮度がポイントだといいます。
Q.気になるのが値段だが?
「100gあたり598円(税込み646円)で販売しています」 (山本さん)
ノルウェー産のアトランティックサーモンと同じぐらいの値段で販売する予定です。
通常の陸上養殖よりも環境負荷を軽減できるのが強み

実証試験を経て、今年から本格的な事業化へ。
東邦ガスによると水温を下げるエネルギーの消費が少なく、通常の陸上養殖よりも環境負荷を軽減できるのが強みだといいます。
一方、海水温が30℃以上になる夏場は「熱交換」で水温を下げきれずサーモンの生育が難しいという課題もあります。
「夏場に生のサーモンを届けられるようにするのが大きな課題で、解決できるように取り組んでいきたいと思っています」(木村 次長)