「廃虚旅館」に続々と人が 一体なぜ? 不法侵入を防ぐために企業が始めたイベント

三重県菰野町で行われた心霊ツアー。ライトの明かりをたよりに建物内を進んでいく人たち。実はこの場所、廃虚なんです。

京都オカルト商会 COCOさん:
「子どもさん、特に女の子の物がたくさん置いてありまして、ここに少女の霊がさまよっているという話となるんですかね」
ここは、湯の山温泉街にある杉屋旅館。江戸時代にできた歴史ある旅館でしたが、20年ほど前に閉館。
所有者はいるものの、建物はそのままになっていました。しかしなぜこのような場所でツアーをすることになったのか。
京都オカルト商会 COCOさん:
「廃虚にはなりますけど、管理者がちゃんといて管理している物件になるので、不法侵入やそういう面で困っているという話があったのでこのイベントを企画しました。」
運営会社によりますと、杉屋は数年前から心霊スポットとしてSNSの間で取り上げられ、以降、いたずらや肝試しで不法に侵入する人が後を絶たないというのです
京都オカルト商会 COCOさん
「当時のゲーム機が存在していまして、不法侵入の方々によって割られて荒らされてということになっています」
営業していた頃の娯楽部屋の写真。同じ部屋ですが、当時の面影はもうありません。

「人が立ち入って管理している」ことをアピールしてこうした被害を防ごうと、企業が正式に心霊ツアーを始めたのです。
廃虚での被害はここだけではありません。
湯の山温泉街には他にもいくつか廃虚があり、3年前には、隣で不審火が。

警察によりますと、この辺りでは月10件ほど、不法侵入などの相談が寄せられているということです。
杉屋では、建物内に人感センサー付きの警報器を複数設置。時間外に人が通ると音が鳴るシステムになっています。
参加人数は一回6人まで料金は6000円のこのツアー。若い人を中心に人気だということです。
こうした取り組みに、町の人は…
菰野町民:
「それで人が来るなら良いと思いますけどね」
「物色したりとか破壊したりとか聞きますもんね」
賛同する人もいる一方で、こんな意見も…
菰野町民:
「見た目がちょっと…そういうイメージになると湯の山温泉の元々のイメージがちょっと変わってくるのかなと思いますけど」
菰野町も、街の景観や安全のため、廃虚については解体を進めたい方針で、今回の取り組みに対しても、否定的だということです。
ただ、湯の山温泉協会の会長は…
湯の山温泉協会 伊藤裕司 会長:
「所有者がはっきりして、心霊スポット巡りですけど、健全な温泉地としてはあんまりいい話ではないんですが、そういう使い道ぐらいしか今は本当にですね、閉館された施設ですので」「がんばっていただいて、観光事業に協力していただければ良いと思っています。」
イメージを気にしながらも、遠方から訪れる人も多いこのツアーが地域活性化に貢献してくれると期待しています。

様々な意見がありますが、運営会社は所有者の「建物を維持して今後有効利用したい」という声を受け、形を残したまま活用したい考えです。
京都オカルト商会 COCOさん:
「地域的には廃虚というとマイナスな部分しかないけど、これからマイナス部分をどれだけプラスに持っていけるか、という形でイベントをした。」
このツアーは11月までですが、今後も、不法侵入の被害が少なくなる冬を除いて、イベントを行っていきたいということです。





