
建設や土木工事などの「測量現場」を担うのは外国人 人手不足が加速して欠かせない存在に

どんな工事にも欠かせない「測量」。近年、人手不足が加速しています。問題解消のカギとなるのが「外国人労働者」です。いまや企業に欠かせない存在になっているようです。
日本の高い土木技術を学びたいと、11年前に来日

熊本県北部の山あいで行われていたのは「測量」。道路工事やマンション建設、どんな工事にも欠かせない仕事です。この現場を指揮していたのは、ネパール出身のバスネットさんです。バスネットさんは、日本の高い土木技術を学びたいと思い、11年前に来日。測量の専門学校で日本語や測量の基礎を学び、卒業と同時にこの会社に入社しました。

測量士は「国家資格」で、専門的な知識と技術が必要です。機器は日々進化。これは、全方向にレーザーを出して土地や建物の3D図面をつくる装置です。2024年には、能登半島地震の復興工事のための測量に出動しました。
建設工事や災害復興に欠かせない測量

建設工事や災害復興に欠かせない測量ですが、測量士は不足。技術者を確保できず事業者は20年で20%ほど減っています。そこで、注目されているのが外国人です。この日、測量に当たっていた4人のうち、3人が外国人でした。

バスネットさんが勤めているのは測量や設計を手がける「ARIAKE」。従業員は約120人で40人ほどの測量士を抱えています。バスネットさんは測量部の係長。10人ほどの部下がいます。7年前に入社したバスネットさん。この会社で初めての外国人でした。
バスネットさんの働きぶりを見て、外国人の採用を加速

「彼(バスネットさん)がいないと、この会社はまわらないくらい」と同僚も絶賛するほどの活躍ぶり。その様子を見た会社は、外国人の採用を加速させました。バスネットさんの存在によって外国人が働きやすい職場と知られ、いまではネパール人やバングラデシュ人など、7人の外国人が働いています。また、バスネットさんには外国人社員の相談相手という役割も。

入社1年半 ウンメさん(バングラデシュ出身):
「仕事のことはいつでもバスネットさんに聞いています」
入社2年 サガルさん(ネパール出身):
「まずは現場を頑張るように、アドバイスを受けています」

ARIAKE 藤本祐弥取締役:
「すごい真面目に取り組んでいます。バスネットさんの存在が大きく、分からなかったらバスネットさんに相談できて、外国人労働者たちも助かっています」
英語が堪能なのも強みに

外国人ならではの強みもありました。ネパールでは英語は公用語の1つ。バスネットさんも英語は堪能です。これまで測量機器の多くが外国製とあって、操作方法などを理解するのに苦労していました。
ARIAKE 藤本取締役:
「英語が堪能な日本人を雇おうと思っても、なかなか雇えない。英語を使うネパールなどの人が入ってくれるのはすごく助かっています」

さらに会社は、彼らの出身国など発展途上国における支援事業にも業務を広げたい考えです。
ARIAKE 藤本取締役:
「海外展開を見据えて、これからもどんどん海外出身の社員を増やしていきたい」

バスネットさん:
「日本とネパールの架け橋。日本の技術をネパールの若い人たちに新しい技術を学んで、ネパールの発展につながればと思っています」
日本経済新聞社 堀田真優音記者:
「人口が減少する中、国内の建設や土木、今回の測量などでは、企業のみならずその人材を育てる専門学校でも生徒不足が問題となっています。それらの解決にも外国人は不可欠といえます」