型破りの発想! 野生のシカも逃げる強烈な匂い 「海の厄介者」が山の救世主に? “獣害”対策で試しにつるしてみたら… 岐阜・大野町

海の「厄介者」が山の「救世主」になるかも!?
【写真を見る】型破りの発想! 野生のシカも逃げる強烈な匂い 「海の厄介者」が山の救世主に? “獣害”対策で試しにつるしてみたら… 岐阜・大野町
野生動物も逃げていくその「臭い」が、農作物を守るというのです。
■2013年:岐阜・郡上市
(スタッフ)「めっちゃ光ってます」
野生動物が農作物などを食い荒らす「獣害」。全国での被害は約164億円。中でもシカによる被害が最も多く、その4割以上を占めるといいます。岐阜県大野町でもシカの被害が…
■6月24日:岐阜・大野町
(NPO法人 里山会 松久幸義理事長)
「木の皮を食べるし、角を研ぐために色んな樹木を角で傷つける。木が枯れてしまう」
4年前、環境保全のため、桜やモミジなど約100本の木を植えましたが、シカの出現によりたった1年で9割以上が枯れ、現在残っているのは4、5本だけ。その木も弱っています。
(松久幸義理事長)「サクラですけど幼木の時に、皮を食べられてしまっている。このままいくと枯れるかもしれない。角で幹に傷をつけられると、水が上がらなくなって枯れてしまっている。わずかに1本、枝が残っている」
田畑の農作物も被害 最近はサルまでも…
山の木だけでなく田畑の作物も被害にあっています。
(松久幸義理事長)「夜の11時~12時ぐらいに、田んぼの方へ行くと20、30頭はいる。農作物とか、秋なら柿を食べていったりする」
田畑を荒らすのはシカだけではありません。
(松久幸義理事長)「シカなどにやられて対策をしているんですけど、最近はサルが来てネットを乗り越えて、色んなものを掘って食べていく。サルだけは何ともならない」
ここ4、5年は特に、野生のサルによる被害が深刻に。そこで、対策にも乗り出しています。
(松久幸義理事長)「前に見えるのは、おりですね」
罠にかかり捕獲されたという7~8匹の野生のサル。しかし、罠にかかるのはほんの一部。移動が速くすばしっこいので捕まえるのは簡単ではありません。
(松久幸義理事長)「屋根の上を飛び回っていたりするので、近所の畑はサルの被害が一番多い」
こうしたなか、獣害の「救世主」として注目されているのが…
「ヒトデ」です!
「ヒトデ」が放つ強烈な匂い シカは近寄れない?
ヒトデは貝を食べたり、漁をする際に網に大量にかかったりするなど、漁業の邪魔になり海の「厄介者」と呼ばれています。
しかし、山では!
(松久幸義理事長)「あれが2年前の6月の植樹の後に、つるしたもの」
おととしの植樹の際に、試験的にヒトデをネットに入れて木につるしたところ、3か月間はシカが寄り付かなかったといいます。
(松久幸義理事長)「独特のにおいだと思う」
ヒトデには強烈な臭さがある上に、乾燥させるとさらに悪臭を放つと言い、シカはその臭いを嫌って来なくなるのでは…というのです。
手応えを感じた大野町の皆さん。ことしからは大野町の里山で本格的にヒトデを活用することに。きょう中部空港で、常滑市の鬼崎漁協が駆除したヒトデの一部、約20キロを受け取りました。
漁業者も喜ぶ 新たな“獣害”対策
天日干しにされたヒトデ。シカが嫌うという、その臭いを記者が嗅いでみると…
(村上真惟記者)「くさい。磯の匂いと何か腐ったようなものが混じったような独特な匂い」
(鬼崎漁業協同組合 平野正樹さん)
「ヒトデはごみとして処分していたが、活用してもらえるなら喜んで提供したい」
海の厄介者が里山を救う存在になるかもしれない。大野町では、シカだけでなくサルにも効果があるか、試す方針です。
(松久幸義理事長)「大野町の特産品でもある富有柿が山際に植えられているので、そこにもつるしてサルの被害がないか実証していきたい」