
ミツバチの巣箱をむさぼる…集落にも近い山小屋に熊が出没 専門家「初夏は繁殖期でオスの行動範囲が広がる 」


岐阜県中津川市の集落にも近い山小屋で2025年6月9日、ミツバチの巣箱を一心不乱にむさぼるクマの姿が捉えられました。各地で出没が相次いでいる背景などについて、専門家に話を聞きました。
■ミツバチの巣箱をむさぼる姿が…「怖くて外に出られなかった」
中津川市で6月9日未明、暗闇の中に真っ黒なクマが現れました。軒先に並んだ木箱を壊して、顔を突っ込んでいます。

同じ日の夕方、今度はさらに一回り大きいクマが現れました。一心不乱にむさぼっているのはミツバチの巣箱です。ハチが周りを飛び回ってもお構いなしです。

映像が撮影されたのは、中津川市蛭川にある集落から500メートルほど離れた山小屋です。クマよけのスプレーを手に、三尾和廣さん(76)が案内してくれました。 三尾和廣さん: 「3つのミツバチ(の箱)が全部食われた。リットル数だと10リットルぐらいあった。ガラスが割られなかっただけ。(クマが)そこをずっと立って歩いていたから」

クマが出た日の夜は、この山小屋に泊まったといいます。 三尾さん: 「ガタガタガタガタ、切り株を動かしたり箱を動かしたりする音がして、怖くて外に出られなかった」 ハチミツや幼虫の味が忘れられなかったのか、クマは2夜連続、10日の未明にも現れました。

岐阜県によりますと、6月に入ってからのクマの目撃は16件。2024年は6月の1カ月で234件の目撃情報が寄せられていて、例年この時期は出没が増えるといいます。
■「初夏の時季」にクマが相次ぐ理由は
6月16日、岐阜県に接する富山県南砺市の工場に子グマが現れました。壁をよじ登ると、高さ7メートルほどの梁の上を歩きながら2時間ほど居座りました。

各地で相次ぐクマの出没について、専門家は…。 岐阜大学応用生物科学部の浅野玄准教授: 「初夏の時季はクマにとって繁殖期にあたりますので、オスのクマの行動圏が広がる時季ですね。それと、ちょうど子別れの時季にもなりますので、親から離れた経験の浅いクマも、警戒心が低かったりして人の生活エリアに出てきやすい」

そして、繰り返しミツバチの巣箱を狙ったのにも理由がありました。 浅野准教授: 「夏の時季はアリの巣とかハチの巣とか、そういったものが大好物になります。動物性タンパク質を簡単に大量にとれるエサになるので、蜂蜜とかアリの巣は好んで見つけて摂食する」

浅野准教授は、山に入るときは鈴やラジオを鳴らし、万が一遭遇したら、クマを見つめながらゆっくり後ずさりして立ち去るのがよいと話しています。