「豊橋新アリーナ問題」 継続?中止?揺れる市民 事業者が初めて公の場に… 住民投票で問われる「未来への選択」

愛知県豊橋市の新アリーナ事業をめぐる住民投票が7月に行われます。事業の継続、つまりアリーナを建設するのか。それとも建設をやめるのか。7月の住民投票を前に議論が白熱しています。
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「新アリーナ事業」とは、豊橋公園の野球場を取り壊して、プロバスケットボールチームの「三遠ネオフェニックス」をはじめとしたスポーツイベントや、コンサートを開催するアリーナを建設し、公園の東側エリアを整備するもので、総事業費は約230億円です。この事業の賛否を問う7月の住民投票に向け、投票運動が熱を帯びています。
(推進派)
「ハコモノじゃない。アリーナは市民と市がやるコンテンツビジネス。こんなチャンスはない」
(反対派)
「アリーナは民間の力で建ててもらえば結構。税金230億7000万円の使い方はもっと別のところにあるのでは」
“契約解除”掲げる市長が当選し…
新アリーナは推進派の前市長のもと、去年9月に正式契約を結び、2027年の開業を目指していましたが、去年11月、事業の契約解除を掲げる長坂尚登市長が当選したため、それ以降事業はストップしたままです。
(豊橋市民)
「(新アリーナ)アリで良いんじゃないですか?」
「豊橋に何にメリットもない。そんなことで税金を使うな」
市民の意見は割れ、推進派が多数を占める市議会と市長との対立が続き、問題の決着は来月行われる住民投票にゆだねられたのです。
(長坂尚登市長 5月15日)
「(住民投票で)賛成多数であれば事業を継続する。反対多数であれば事業を継続しない。つまり事業をやめる。契約解除していくことが住民投票の結果を尊重することだと認識している」
投票できるのは、18歳以上の市民約29万人。事業の継続に賛成か反対か、どちらかに丸をつける形式で行われます。
建設・設計会社が公の場所で初の説明
きのう、推進派が開いた講演会にアリーナの建設・設計会社が参加し、事業にかかる費用や計画について初めて公の場で説明しました。
(「豊橋ネクストパーク」事業責任者 平出和也代表取締役)
「どこにも負けないグレードの施設を造ることで、たくさんのイベントを開いて、たくさんの人に来てもらうのが良いと考えて、230億円の使い方としては(全額を)グレードの高い施設整備に充て、イベントや興行等での収入を十分得ることによって、維持管理費をまかなっていく」
このアリーナ事業による経済波及効果については、整備期間を含めた30年間で約1100億円との試算を明らかにしました。一方で気になるのは契約が解除され、アリーナ建設がなくなった場合の賠償額です。
(平出代表取締役)
「そもそも我々はこの事業を継続して責任を全うしていきたいと考えており、現時点で解約をした場合を想定した金額の計算をしていないし、想定を申し上げることもふさわしくない」
また、アリーナが建設される場合も。
(平出代表取締役)
「少なくとも(事業が)遅れたことで、現地でかかる費用は日々増えている状況。建設費の高騰等の影響が将来的には発生し得ると考えている」
アリーナ事業について賛成か反対か住民投票で決着しても、それぞれの場合にかかる費用の総額ははっきりしないままです。
住民「何が本当の情報なのか…」
豊橋の街の人は…
(60代)「決めかねる。金額的にも大きいことなので。もっといろいろな情報がほしい」
(50代)「調べているが、その情報に対して『それは間違っている』とさらなる情報が来たりして、何が本当の情報なのか」
きょう市議会は住民投票に向けて、市が主催する説明会の開催を求めたほか、アリーナ事業の正確な情報を整理する「調査特別委員会」の設置を決めました。
住民投票は、7月20日が有力視される参院選の投開票日に行われますが、費用面など市民の判断材料をどれだけ提示できるかが焦点になりそうです。