
【参院選/何で選ぶ?】「売上500万円が消えた」トランプ関税で東海地方の伝統産業も打撃 耐える中小企業に各政党の支援策は?

交渉が難航するトランプ関税。東海地方の伝統産業にも、すでに大きな影響が出ています。
約500万円のキャンセル 陶器の街にも“関税の打撃”

“陶器の町” 岐阜県多治見市で100年以上続く丸朝製陶所。ネット通販を中心に販売しているオリジナル商品は、スタイリッシュな洋食器を中心に60種類以上。中には、猫用の器まで…。細かい部分は今も手作り。約40人が働いています。
絶え間なく続く陶器の製造。しかし今、大きな危機に直面しているといいます。
丸朝製陶所 松原圭士郎社長:
「トランプ関税が決まってから、400~500万円ぐらいキャンセルがあったんですね」

トランプ大統領:
「日本は我々に実質46%の関税をかけている。我々は彼らに24%の関税をかける」
アメリカのトランプ大統領が発表した関税政策。東海地方の産業を支えるトヨタ自動車も、今期の見込みに“関税”による損失を一部盛り込むなど、その影響は小さくありません。

丸朝製陶所でも、去年から北米への販路拡大を狙っていましたが、アメリカの企業などから「関税で利益がなくなる」と、この3か月で500万円ほどのキャンセルが出ました。
丸朝製陶所 松原圭士郎社長:
「安くないですよ、もう零細企業にとってはね。売上だけで約500万円消えるのは、本当に厳しい状況」
さらに、同じく関税の影響で仕事の減った中国企業が低価格で受注するようになり、厳しさを増しているといいます。
丸朝製陶所 松原圭士郎社長:
「すべて根底から見直していかないと。このままでは状況的によくないので悩みどころではあるのですが、ここから一歩抜け出したメーカーは、この先大きく飛躍できると思う。ぼくは楽しく頑張っていきたいと思います」

現在、アメリカとの関税交渉に動いている国に対し、90日間の猶予を設けているトランプ大統領。その期限が迫っていますが、石破総理が直接対談した6月のG7会合でも合意には至らず…。
6月29日に放送されたFOXニュースのインタビューで、「日本に書簡を1通送ることができる。自動車に25%の関税を支払うことになるというものだ」と述べ、自動車関税を見直さない姿勢です。

そのほかの関税も先が見通せない状態。丸朝製陶所では、人件費の削減などはせず、新たな販路の拡大でこの難局を乗り切ろうとしています。
丸朝製陶所 松原圭士郎社長:
「ローカルの製造業や企業の雇用など、経済が良くなるような仕組みから政治というのを捉えていってほしい」
耐える中小企業…各政党の支援策は?

トランプ関税の影響で打撃を受ける中小企業。外交官や海外特派員の経歴を持つ風間晋さんは、中小企業への影響について懸念を示しています。
外交官を経て記者となり海外特派員も経験 風間晋さん:
「中小企業は大企業に比べると耐える力が小さい。関税の問題が長引くほど体力が削られていくという面がありますね」
大企業も中小企業も影響を受けるトランプ関税。参院選に向けて各党はどんな政策を掲げているのでしょうか。
「自民」「立憲」「公明」「れいわ」は、中小企業への資金繰りの支援をあげています。「維新」は社会保険の負担を減らすことで支援、「国民」は自動車需要を喚起させる政策。「共産」「参政」「保守」は外交での解決を目指すとしています。
東海地方の企業も行方を見守っていますが、これまでの交渉を見ていると、簡単には決まらない可能性も…。
外交官を経て記者となり海外特派員も経験 風間晋さん:
「トランプ関税は誰もが無茶だと思っている。外国だけではなくアメリカ国内からの不満もあり、今はそれをおさえているところ。長引けば国内の不満をおさえきれなくなるので、早く決着させたがっている。変に妥協はできない」
トランプ関税は、巡り巡って私たちの暮らしにも大きく影響を与えます。交渉の行方と各党からの発言にしっかりと注目していく必要がありそうです。