
【参院選/それってほんと?】参院選前に知っておきたいSNSデマの実態 39歳以下の6割以上がSNSの情報を重視 惑わされない一票のために「発信元チェック」を

7月3日公示の参議院選挙。関心を持っているからこそ、注意が必要なのがSNSでのデマ。惑わされないためにはどうしたらいいのでしょうか。
ニセ公約から殴り合い映像まで SNSデマから“一票”守るには

今SNS上であふれる真偽不明の情報。そんな中、懸念されているのが、こうした偽情報の選挙への影響です。去年行われた名古屋市長選挙では、ある偽情報が広がっていました。
去年の名古屋市長選に立候補 大塚耕平さん(去年11月):
「大塚耕平が市長に就任すると敬老パスをなくすというデマが飛び交っておりますが、まったく真逆のことを従来から言っております」
当時、広沢市長の対抗馬となった大塚耕平さん。当初から「敬老パスの拡充」を主張していたにも関わらず、SNS上で「敬老パスを値上げする」「廃止する」など、偽情報が拡散されたのです。
当時の陣営関係者:
「最初は気にしていなかったが、だんだんそういう声を聞くことが多くなり対策を始めた」

当時のXの投稿を分析すると、大塚さんの名前と「敬老パス」、「廃止」や「やめる」などの単語が入った投稿は、選挙中盤以降に突然急増。この期間の閲覧数は約37万回にのぼりました。
陣営によると、最初はSNS上だけだったのが口コミでも拡散され、高齢者からも疑問の声を投げられるように。ポスターやチラシを新調し、動画で否定するなど打ち消しに追われたといいます。
当時の陣営関係者:
「デマが広がってしまったあと 完全に払拭できたとは言えない」

結果選挙は敗戦。
去年の名古屋市長選に立候補 大塚耕平さん(去年11月):
「口コミで聞かれたSNSを利用されない高齢者は、否定する情報を伝えるすべがないので非常に難しかった。(偽情報は)ある意味、選挙妨害に近い行為なので、今後どういう対応していくか政治全体の課題だと思います」
陣営関係者は、「打ち消しに追われ、全体的にネガティブな印象になってしまったのではないか」と感じたといいます。

選挙中、投票行動の元となる情報に偽情報が混じると、正しい判断ができなくなってしまう危険性も。
問題になるのは情報だけではありません。今年6月に行われた韓国の大統領選。テレビ討論中、突然髪をつかみ合った候補者たち。もちろん偽動画です。


画面中央の白い線で途切れていた腕が、突然伸びて境界線を飛び越え、髪をつかむ手も不自然な形に。

この時の実際の映像を見ると、これだけ距離が離れていました。
今回の大統領選では偽の動画が急増。削除要請された動画の数は、去年4月の総選挙の約27倍、1万件以上にものぼります。※削除要請の動画:去年4月の総選挙→388件 今回の大統領選→1万508件

誰もが毎日、大量の情報を目にする時代。偽情報をどのようにして見分けることができるのでしょうか
名古屋大学 政治と情報に詳しい 山本竜大教授:
「私たちが見ている情報は、読まされていると考える視点を忘れてほしくないなと思います」
興味がありそうな情報を優先的に表示してくるSNS。専門家によると意識的に情報を比較することが大切だといいます。
名古屋大学 政治と情報に詳しい 山本竜大教授:
「情報がどんどん再生産されている。情報が多いから正しいという感覚は気をつけたほうがいい。情報の裏どりをできるだけ自分のところで行うこと」
選挙でSNSの情報を重視する? 世代で大きなバラつきが…

本物と見分けがつかないほど巧妙化しているSNSの偽情報。つい信じてしまいそうになりますが、中京テレビ「キャッチ!」にコメンテーターとして出演する予備校講師の村瀬哲史さんは、SNS上の情報をうのみにすることの危険性について、このように指摘します。
予備校講師 村瀬哲史さん:
「裏をとる、発信元をたどるというのが本当に重要で、万が一(偽情報を)うのみにして家族や友人に伝えたりSNSで拡散してしまうと、知らず知らずに自分が加害側に立つという可能性もある」
7月20日に投開票される参院選でSNSの情報を重視するか、最新の世論調査の結果、全体では重視すると答えた人は33%。しかし、年代によるバラつきが大きく、60歳以上は10%に対し、39歳以下は66%が重視すると答えています。
正しい情報かどうかを見極める力も必要ですが、政党や候補者などからオフィシャルな情報をSNSで発信するのも最近の選挙ではよく見られます。
たくさんの情報源があるからこそ、発信元が公式かどうかをチェックすることが大切です。SNSもうまく活用して、7月20日の投票に臨みましょう。