
6月から義務化され罰則も…暑さと闘う職場で『熱中症対策』の強化進む 5月半ばでもハウス内は“蒸し風呂状態”


2025年5月20日、名古屋で初の真夏日をなるなど、東海地方ではほとんどの地点でことし1番の暑さとなりました。猛暑の夏が予想されますが、6月からは熱中症対策が義務化されます。怠れば、罰則も科されることとなるため、企業も対策を進めています。
■ハウスの中は外より暑い…東海地方で真夏日続出
東海地方では5月20日、最高気温30℃以上となった地点は21を数え、真夏日続出の1日となりました。 愛知県東海市のブドウ農園「加市農園」では、7月の収穫シーズンに向け、房の形を整える作業の真っ只中です。

しかし、外の気温は28.8℃ですが、蒸し暑いハウスの中では32.6℃でした。 従業員: 「汗もダラダラで。サウナに入っているような感じです」 別の従業員: 「作業に慣れていない時期に急に暑くなったりすると、気持ち悪くなっちゃったりすることはある」 風の吹かないハウスの中は、まさに『蒸し風呂状態』です。

首元の扇風機に加え、ハッカとエタノールを水で溶いたスプレーで、暑さを紛らわせていました。
■企業に「熱中症対策」を義務化へ
熱中症に警戒する、暑さとたたかう職場ですが、「とるべき対策」が、2025年6月からより厳しくなります。

厚生労働省は6月1日から、企業に対し熱中症の恐れがある人を早期に見つけ、報告する体制を作ることを義務化します。体を冷やして搬送するなど重篤化を防ぐ手順を事前に定め、職場で周知することを求めます。 対策を怠った場合は、6カ月以下の拘禁、または50万円以下の罰金が科されます。
■工夫やマニュアル作成で対策するメーカーも
愛知県大口町の「巴製作所」は、トヨタの人気SUV・ランドクルーザーなどの車載レンチや、その形を応用したアウトドアギアを手掛ける、アイデア溢れるモノづくり企業です。

巴製作所でも、熱中症対策を強化していました。 巴製作所の浅井文康部長: 「この工場は夏になると40℃を超えますので、熱中症対策として断熱シートを取り入れることになりました」 レンチの強度を上げるため、850℃の熱を入れる機械の表面に断熱シートを取り付け、工場内の温度を上げないように工夫していました。

保冷剤入りベストの着用など従来の熱中症対策も継続しながら、義務化を受けて新たに作成したのが「マニュアル」です。

浅井部長: 「熱中症の恐れがある者に対する処置ということで作成しまして、自分がどこにいるかも分からないということであれば、すぐに救急搬送ということになります」 愛知労働局の勉強会にも参加し、熱中症のおそれがある人を見つけた際の連絡体制や、緊急搬送の手順などをマニュアル化しました。大切な従業員の命を守るために、準備万端です。

浅井部長: 「夏をどう乗り切るのかというのが弊社の一番の重要課題となっています。とにかくできることをやるという形で、色んな対策を今後もとっていきたいと思います」
■「いつもと違う」と思ったら熱中症の可能性

厚生労働省によると、2020年から2023年に発生した熱中症による死亡災害を分析では、重複もありますが『発見の遅れ』が78件、搬送しないなどの『対応の不備』が41件あったということです。 死亡に至らせないための適切な対策が必要として、今回の義務化にもつながっています。 周りから見ても『いつもと違う』と思ったら熱中症を疑ってください。 ・イライラしている ・フラフラしている ・呼びかけに反応しない ・ボーっとしている