成績の悪いメンバーには「爪をはがす」などの暴行も カンボジア特殊詐欺 拠点の生活実態

成績の悪いメンバーには、爪をはがすなどの暴行も。カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件。拠点の驚くべき実態が徐々に明らかとなってきました。
詐欺未遂の疑いで、10日再逮捕されたのは19歳から52歳の男女29人。
警察によりますと、29人は他の者と共謀し、カンボジアから京都府舞鶴市の団体職員の男性(63)に長野県警の警察官をかたるうその電話をかけ、現金をだまし取ろうとした疑いがもたれています。
警察は29人の認否を明らかにしていません。
警察の捜査でわかってきた、カンボジアの詐欺拠点での生活実態とは…。
「容疑者29人は詐欺でだまし取った金の数パーセント程度を報酬として受けとっていたとみられています。その額は役割によって差がつけられていました」(記者リポート)
警察によりますと、メンバーの報酬は詐欺でだまし取った金の数パーセント程度。
被害者と直接やりとりするため難易度が高いとされる「警察官役」は報酬が高かったということです。
また、報酬は現金のほか、暗号資産でも受け取ることができました。拠点の中にはコンビニや、理髪店、風俗店などがあり報酬をそうした施設で使ったり、個人の借金の返済に充てたりしていたとみられています。
朝から晩まで一日中「詐欺」の電話

捜査関係者や現地を知る人物などへの取材によりますと、拠点には、中国系マフィアの管理者がいて、国ごとの複数のグループに分かれ朝から晩まで一日中「詐欺」の電話をかけていたということです。
「日本へ帰りたい」
帰国を訴えたり、成績が悪かったりしたメンバーは、ライターで鼓膜を焼かれる、腕をナイフで切られる、爪をはがされるなどの「暴行」を受けていたということです。
加えて、かけ子らに恐怖心を与えるためなのでしょうか。
「拠点の中でライオンを見た」
複数の容疑者が、拠点でライオンやトラ、ワニなどを目撃したといいます。
警察の調べに「思ったより悪い環境だった」とも話しているということです。
29人は、リクルーターからSNSや対面で「金を稼げる」などと勧誘を受けてカンボジアに渡ったとみられ、警察は国内にいるとみられるリクルーターを含めて実態の解明を進めています。