車の騒音を小さくするしくみに、涼しくなるシート モビリティでの「移動を快適にする技術」を一挙公開

トヨタ自動車のクルマづくりを学べる企画展「自動車開発の歴史と未来 移動を快適にする技術」が8月31日(日)まで、名古屋市西区にある「トヨタ産業技術記念館」で開催されています。会場内には、空飛ぶ未来のクルマに乗っているようなフォトスポットもあります。
座るとひんやりするシート

同展覧会では、自動車開発の歴史の中で培ってきたさまざまな技術が展示されています。例えば、座るとひんやりと涼しく感じるクルマのシート。「ベンチレーションシート」と呼ばれる製品で、シート内部にファンが内蔵されているそうです。シニアアドバイザーの寺井英晃さんに話を聞きました。
寺井さん:
「ベンチレーションシート(涼しいシート)は、シートの内部にファンが内蔵されていて、空気を吸い込んでいるんです。当初は空気をシートから出していました。しかし技術開発をしていく過程で、エアコンの涼しい風を吸い込んだ方がより快適だと分かり、途中から変わってきたという経緯があります」
どちらのスピーカーの音が大きい?

最近は静かな車が多いですが、その静粛性の技術を体験できるブースもあります。スピーカーから近い管と遠い管の2種類があり、どちらの方の音が大きく聞こえるかを体験できます。
寺井さん:
「管の長さにより、固有振動数が決まっています。今回出しているスピーカーの周波数と長い管の固有振動数を一致させるように作りました。すると、共振・共鳴という現象が起こります。共振・共鳴している音を聞いていただいたことで、オリジナルの音よりも大きく聞こえるんです」
――穴から近い、向かって左のスピーカーのほうが大きく聞こえそうですが、管を通って音が共鳴することでより大きく聞こえてしまうのですね。
「これがエンジンの音だと、大きくしたときに大変なことになります」
実際のクルマに使用する際は、なるべく音が大きくならないよう、共鳴しないようにつくられているのです。

また、静かな車内を実現するための技術を学べる「ANC(アクティブノイズコントロール)体験コーナー」もありました。壁には3つスピーカーが設置されていて、まずは真ん中からエンジンがこもる音が聞こえてきます。次に10秒後に、両サイドのスピーカーからもエンジンの音が流れます。
3つのスピーカーから音が流れているはずですが、静かになりました。
寺井さん:
「真ん中から出ていたエンジンがこもる音の逆位相の音を積極的に両側から出していました。そうすることで音同士がぶつかり、打ち消し合う現象です」
ANC(アクティブノイズコントロール)とは、音で音を消すしくみのこと。そのANCのしくみを車に取り入れています。
同企画展では、こうしたクルマの技術を体験できるコーナーが多数設けられています。8月31日(日)まで開催されているので、ぜひ足を運んでみてください。
(2025年4月11日放送「5時スタ」より)