
決勝で負けたライバルチームを“友情応援” 東邦マーチングバンド部「選手の力になりたい」

夏の甲子園大会が開幕。甲子園に向けて、ある練習が意外な場所で行われていました。

5日から夏の甲子園大会が開幕。この地方からは愛知代表・豊橋中央。岐阜代表・県立岐阜商業。三重代表・津田学園が出場します。
そんな中、甲子園に向けて、ある練習が意外な場所で行われていました。その場所というのが、愛知県の東邦高校。
東邦と言えば、愛知大会決勝で惜しくも豊橋中央に敗れたチーム。4日、学校を訪れると「豊橋中央!」と元気な声が聞こえてきました。
豊橋中央と叫んでいたのは、東邦マーチングバンド部。
どうして叫んでいたのかというと…。
「豊橋中央から応援していただきたいと要請が来て『ぜひ』ということで受けた」(東邦 マーチングバンド部 白谷峰人 監督)
実は、甲子園に出場する豊橋中央を応援するための練習をしていたんです。
豊橋中央には吹奏楽部やチアリーディング部がなく愛知大会は声と太鼓のみでの応援していました。
そんな中、決勝戦で東邦の応援を間近で見た選手達が、その迫力に驚いたといいます。
現に試合後のインタビューで豊橋中央の萩本監督は…。
「東邦高校の応援がとてもすごくて『これか!』と終盤ずっと思っていた」(豊橋中央 萩本将光 監督)
東邦マーチングバンド部の演奏と応援の力に苦しめられたと語りました。
決勝戦が終わって4日後、応援を担当する豊橋中央の野球部員3人と顧問の先生が東邦に訪れ「どうしても東邦さんの応援を受けたいというのが野球部員たちの総意です」という感じでマーチングバンド部に依頼があったといいます。
決勝で負けたライバルチームを応援することについては?
「まず驚いた。『えー』という声がたくさんあがっていましたが、応援団長などと話ができたことで親近感が湧いたというか、コミュニケーションをとったことで近く感じることもできた。だからこそもっともっと応援を一緒にして、東邦マーチング部と豊橋中央で素晴らしいものを作りたい気持ちになった」(東邦 マーチングバンド部 三冨彩名 部長)
「控えの選手3人が来てくれて話をさせてもらったんですけど『この選手にはこの曲をやってほしい』リクエストを書いてきてくれた、目をキラキラさせて言うのでこちらも親身になってしまって『(自分が)豊橋中央だっけな?』豊橋中央の選手の力になれるようになったらいいなと」(白谷監督)
ぶっつけ本番の応援!できる限りのことを

豊橋中央の熱い思いが伝わったことで、部員が一丸になったといいます。しかし、こんな課題が浮き彫りになりました。
「楽譜も今日の朝配った。個人が今は頑張って練習していてまだ全体では合わせたことがない」(三冨部長)
豊橋中央の応援曲は全部で30曲、その楽譜が4日ようやく部員にいきわたったといいます。さらに、そのうちの20曲は演奏したことがないそうでとにかく時間がないんだとか。
「ただ演奏するだけではダメ。応援演奏は『がんばれ』という気持ちを込めて音を出さないと選手にエールが届かない。『がんばれ』という気持ちで演奏できるように自分たちのものにしなくてはいけない。これがあと5日、6日でできあがるかどうか」(白谷監督)
さらに豊橋中央の応援団との合同練習はまったくできず、試合当日に、ぶっつけ本番の応援になるといいます。とはいえ、部長の三冨さんは、甲子園で演奏できる機会に感謝していました。
「甲子園という場所で演奏したことない部員ばかりなので焦ってはいますが、できる限りのことはしたい。豊橋中央と一緒に合わさった時にすごいものになると思っている。注目されるのはもちろん選手だがスタンドも注目されるほどの音量で聴こえていればそれだけ応援ができている。選手が注目されるのはもちろん自分たちのスタンドも注目される応援ができればいいなと思う」(三冨部長)