「高度に組織化」新人教育や反省会 わずか数か月で“14億円”荒稼ぎ 愛知県警が29人を逮捕

特殊詐欺に関わったとして、20日、カンボジアから移送された日本人29人の本格的な取り調べが始まりました。
新人教育や反省会まで…。明らかになったのは会社のように組織化された犯罪グループの実態でした。

20日夜、愛知県常滑市の中部国際空港。
記者:「カンボジアから移送された日本人が中部国際空港に到着しました」
多くの捜査員とともに出てきたのは、カンボジアにある特殊詐欺の拠点で拘束された日本人。続々と姿を見せ、その数29人。
29人は、19歳から52歳の男女で警察官などになりすまし、東京都に住む64歳の男性から現金をだまし取ろうとした詐欺未遂の疑いで、20日、全員逮捕されました。

29人が拘束されたのは、カンボジア北西部のポイペト。治安が悪いとされるこの町に詐欺の拠点があったのです。
上空から見ると、広大な土地に立ち並ぶ集合住宅が。干してある洗濯物や複数の車、人の姿も確認できますが一部は大きなフェンスに囲まれていました。
この拠点が特定されたきっかけは、自身も詐欺行為に関与したという愛知の男性からの情報提供でした。
愛知県警は、男性からの情報をもとにカンボジア当局に捜査を依頼。カンボジア警察が、今年5月、29人を拘束したのです。

それから約3か月後の移送。海外を拠点とする特殊詐欺事件では過去最大規模に。
いずれも「かけ子」とみられる29人の中には19歳も3人含まれていました。
拠点が今年2月から5月の間に犯罪によって得た収益は約14億円。グループがどのようにだまし取っていたのか29人の話から作業の内容が少しずつ明らかになってきました。
敷地内は、居住スペースと詐欺を行う建物に分かれ、警備員に監視されて出入りが制限されていたといいます。
そして、建物の中は「かけ子」数人ごとに、ブースで分けられた部屋があり、朝から晩まで作業。
かけ子同士は、スマートフォンで詐欺の電話の内容や進捗状況を共有していたほか、一日の終わりに、お互いに反省点を言い合うなど、協力しながら犯行に及んでいたということです。
高度に組織化された犯行。特殊詐欺グループに人材を紹介している男によると近年、詐欺に加担しているとみられる日本人が増えているといいます。

その理由のひとつが約150万円という高額な月収です。
詐欺グループに人材紹介:
「日本人は給料が高い。だいたい月に1万ドル(約150万円)はもらっています」
また、日本人は高値で取引されるといい、紹介料は600万円にものぼるといいます。
今回逮捕された29人の認否を警察は明らかにしていませんが、「お金が稼げる」などの勧誘を受けて、渡航したと見られています。
警察は、グループの実態解明に向けて本格的な調べを進める方針です。