“ニセ警察官”特殊詐欺が増加「難しい言葉並びパニック」間一髪で被害免れた女性が巧妙さ語る

カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件。逮捕された29人は「警察官をかたり」犯行に及んでいたとみられています。こうした手口の詐欺が、今年に入り増えています。寸前で被害を免れた、名古屋市の女性が手口の巧妙さを語りました。
「こんな詐欺に引っかかるなんて思っていなかったんですけど、難しい言葉がずらっと並んでいたので、パニックになってしまった」(被害に遭いかけた女性)
こう語るのは、名古屋市内に住む30代の女性です。
7月末、女性の携帯電話に見知らぬ番号の国際電話がありました。
「生田警察署のヤマシロです。あなたに逮捕状が出ています。兵庫まで出頭してください」(ヤマシロと名乗る男)
ヤマシロと名乗る男は、女性が詐欺事件のマネーロンダリングに関与していると説明。ビデオ通話での事情聴取を求めてきました。
「警察はビデオ通話をしないだろうと思っていたが、本当に自分が逮捕されるかもしれない。だったら事情聴取をやらないといけないと思ってしまいました」(被害に遭いかけた女性)
逮捕状には知られていないはずの自分の名前や住所が…

事情聴取は大阪府警の「イタオ」を名乗る男が担当。女性はイタオとLINEのアカウントを交換し、ビデオ通話が始まりました。
最初にイタオから送られてきたのは、警察手帳と逮捕状の画像。
逮捕状にはなぜか知られていないはずの自分の名前や住所などが記載されていたといいます。
「名前と住所が知られていて捜査は進んでいるんだなと。難しい言葉がずらっと並んでいたのでパニックになってしまった」(被害に遭いかけた女性)
動揺した女性は、「捜査に必要な情報」として言われるがままに、持っている3つの銀行口座と口座番号、それにそれぞれの残高まで教えてしまいます。
「電話がかかってくることもおかしいし、逮捕状がLINEで来ることもおかしいし、おかしいことだらけだったが、正しい判断ができなかった」(被害に遭いかけた女性)
振り込みに訪れた郵便局で、不審に思った窓口の職員が警察に通報

さらにイタオの要求はエスカレート。
口座の現金を全額振り込むよう指示されたことで、女性は電話を切ろうとしますが――
「電話を切ったら、即刻逮捕・勾留し家宅捜索をする」(イタオと名乗る男)
恐怖心から電話を切ることはできなかったといいます。
しかし、振り込みに訪れた郵便局で、不審に思った窓口の職員が警察に通報。詐欺に気付きました。
「『警察に振り込むなんてありえない』と言われて安心して、一気に涙が出ました」(被害に遭いかけた女性)
「ニセ警察詐欺」は全世代で被害が広がっている

こうした警察官をかたる特殊詐欺の手口は年々急増しています。
愛知県警によると、愛知県内における今年1月から7月までのニセ警察詐欺の認知件数は416件、去年の同じ時期と比べて6倍以上増加してます。
また、詐欺といえば高齢者が狙われるイメージがありますが、「ニセ警察詐欺」は全世代で被害が広がっているというデータも――
被害を間一髪で免れた名古屋市の女性は同じ思いをする人が減ってほしいと話します。
「こんな詐欺に引っかかるなんて思っていなかったんですけど、他人事だと思わず、私の体験で危機感を持ってもらえたら」(被害に遭いかけた女性)