クマの出現をAIで検知 「被害を防ぎたい」と名古屋の会社が開発 検知の確率は「95%」

全国でクマの出没が相次ぐなか、名古屋の会社が開発した「AIでクマを検知するカメラ」が注目されています。
突然、車に突進してきたのは、丸々と太った巨大なヒグマ。6日、北海道浦河町の橋の上に現れました。
車にはヒグマの爪痕が…。乗っていた人は幸い無事だということです。
また、10日午前7時半ごろ、富山県砺波市で「クマを目撃した」などと複数の住民から110番通報がありました。
クマは住宅の敷地内にある納屋に居座り、地元の猟友会が駆除しました。
クマの目撃情報は東海地方でも。
7日正午ごろ、岐阜県大野町の来振寺の駐車場に体長約1mの成獣とみられるクマが出没。
クマは約2時間半居座った後、山へ戻り、けが人はいませんでした。
「クマの頭数がどのくらいいるかわからないので、そのあたりが心配」(住職 明星良昌さん)
そして8日。地元の猟友会などはクマの捕獲に向けて寺の裏山に檻を設置。周辺には看板を設置するなどして住民に警戒を呼びかけています。
高い精度で「クマだけを検出できる」

名古屋の会社が「クマ被害を防ぎたい」と立ち上がりました。
その名も「AI 熊さんカメラ」。クマを検知すると回転灯が光り、スピーカーから警告音が鳴ることで、屋内にいてもクマの存在を知ることができる仕組みです。
「『クマを検知できるカメラがあったら、助かる人がたくさんいるのではないか』と思い、開発しました」(レッツ コーポレーション 福田伊佐央さん)
元々、車のナンバーや車種の画像をAIで解析する技術を得意としていて、3年ほど前からクマ被害の防止に技術を応用できないかと考え、開発を進めてきたといいます。
「クマにもいろんな個体差があるし、身長差も顔もあると思う。どんなクマでも検出できるところ、それが今までAIの技術を磨いてきた技術を生かした」(福田さん)
様々な角度のクマの画像をAIに学習させていて、高い精度でクマだけを検出できることが売りだといいます。
「他のもの、例えば人とか猫とかが来ても反応しないが、クマだけに設定しておけばクマにしか反応しないので、そこがAIの優れているところ」(福田さん)
クマ検知の確率「約95%」

開発したレッツ コーポレーションでは、クマを検出できる距離が約10メートルの「家庭用」(参考価格12万3200円)と、100メートルほどの距離でも検出できる「業務用」(参考価格43万7800円)の2種類の予約販売を受け付けていて、すでにホテルの管理会社から問い合わせがあったということです。
Q:どれくらいの確率でクマを検知できる?
「95%くらいはいけるかな。リアルタイムでクマを検知できるので、家の近くに来たらクマをすぐに検知できて身を守る行動がとれる」(福田さん)
クマの目撃情報が相次ぐ原因

なぜこの秋、人里でのクマの目撃情報が相次いでいるのでしょうか。
クマの生態に詳しい岐阜大学応用生物科学部の淺野玄・准教授によると、原因は大きく2つあるといいます。
1つは「個体数の増加」です。今年は岐阜県内のクマの目撃件数が9日までで886件で、去年の11月末までの数と比べると約1.3倍になっています。
2つ目は「エサとなる“どんぐり”の減少」です。今年は、ブナやコナラの実が不作で、山の中でエサが十分に確保できない“弱い個体”が人里に降りてきているといいます。
12月終わりごろまでは警戒が必要

一般的に冬になるとクマは冬眠するといいますが、いつから冬眠するのでしょうか。
浅野准教授によると、個体差はあるが、例年12月の終わりごろまでは警戒する必要があり、12月下旬になるとクマの目撃情報が一気に減るそうです。
ただし、エサを十分に確保できていないクマは、冬眠を遅らせる可能性もあるということです。





