外国人観光客増加で「落とし物」も増加 忘れ物の問い合わせで業務ひっ迫 そこで生まれた新ビジネスとは

外国人観光客の回復に伴い、宿泊施設で今、頭を悩ませている問題があります。それは「忘れ物」です。そこで生まれた新しいビジネスに迫ります。

日本一の湧出量を誇る大分県・別府温泉では、外国人観光客の増加に伴い、ホテルでの忘れ物が大きな問題となっています。あるホテルでは、2024年の忘れ物件数が前年の1.5倍に増加し、その半数が外国人によるものでした。言葉の壁や手続きの手間が業務を圧迫し、レビュー評価にも影響するリスクがあります。
取り扱い件数は月700件

この課題を解決するため、大分市のベンチャー企業「LID(ロスト・アイテム・デリバリー)」が注目されています。2020年に創業したこの企業は、全国約1000のホテルと契約し、忘れ物の問い合わせ対応や配送を代行しています。取り扱い件数は月700件で、1年で4.5倍に急成長しています。

LIDは、忘れ物の中身を確認し、税関に必要な情報を記入。危険物扱いとなるワイヤレスイヤホンなどにも対応しています。国際貨物便を運航する大手物流会社と提携し、忘れ物を安全に届けています。手続きには1件あたり8000円から1万円の料金がかかり、顧客から直接徴収されます。ホテルはLIDに忘れ物を送るだけ。煩雑な手続きから解放されます。

送り返す際には、折り紙の鶴を同封するという心遣いも。LIDのサービスにより、ホテルの信頼感が向上し、再訪客が増えているとのことです。LIDは年間10万件の取り扱いを目指し、鉄道や空港、観光施設との連携も視野に入れています。

ロスト・アイテム・デリバリー 吉永陽介社長:
「ゲスト第一でサービスをしようとみんなでやっています。ホテル・宿泊施設の心証が上がって、また日本に来てくれます」

受け取った客からは喜びの声が寄せられています。
感謝のレビュー:
「海を越えて自分の手元に届き、本当に言葉にできないほど感動しました」
「荷物を受け取りました。子どもがとても喜んでいます。ご協力ありがとうございました」

アマネ リゾート セイカイ 高橋雅樹さん:
「忘れ物が無事ご自身の手元に戻ったということによって、弊社の信頼感が上がり、再訪してもらうケースが少しずつ増えています」
日本経済新聞社 仲村宗則大分支局長:
「インバウンドの拡大とともに現場では見えにくい負担が増えています。忘れ物対応・航空機のチェックイン支援・さまざまな通訳などいわゆる面倒ごとを解決するサービスが各地で広がっています」