悪質な“あおり運転”を空から追う「スカイアイ取り締まり」 地上と連携 わずか数分で検挙も 専門家に聞いた防止策は? 三重

高速道路上での急停止や蛇行運転。さらに、一歩間違えば、大事故になりかねない「あおり運転」などが各地で後を立ちません。
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三重県警によると、県内の道路上で「あおられた」「割り込まれた」「危なかった」という通報はごらんの結果に。
2020年は170件で、去年は110件。減ってはいるもののなかなか根絶には至っていません。そこで…
三重県警が2018年から取り組んでいるのが「スカイアイ取締り」。空から目を光らす取り締まりです。
■2019年9月:三重・四日市市
(原誠記者)
「午前10時半です。東名阪道の上空には警察のヘリコプターです。あおり運転の取り締まりをしています」
警察のヘリコプターと、パトカーが連携し、空と地上から悪質な運転をするドライバーを取り締まります。上空から悪質車両を見つけると、地上で待機するパトカーに即座に知らせます。
三重県警「スカイアイ取締り部隊」の出動式
2018年6月からことし4月までに「スカイアイ取締り」によって88件の悪質車両を検挙したということです。
「スカイアイ取締り」はこれまでに33回行われていますが、きょう東名阪道上りの亀山PAエリアでは、三重県警「スカイアイ取締り部隊」の出動式が行われました。
(三重県警 高速道路交通警察隊 大門龍男 隊長)
「あおり運転につながる車間距離不保持や通行帯違反、これらを中心に取り締まる」
三重県では7月11日から20日までが「夏の交通安全県民運動」の期間。このため県警はあらためて妨害運転の根絶などを目指す啓発キャンペーンを行なったのです。
(大門隊長)
「あおり運転は、年々通報が増加している。ドライバーは車間距離を十分にとって、追い越しが完了したら直ちに走行車線に戻ることを徹底してほしい」
三重県警が力を入れる「スカイアイ取り締まり」とは、いったいどのようなものなのか?
空から車両を追う…「スカイアイ取り締まり」
こちらは去年の7月に三重県内で行われた実際の取り締まりの映像です。
県警のヘリが捉えたのは、伊勢自動車道の久居インターチェンジ付近を走る…白い高級外車。勢いよく追い越し車線を突き進み、車を追い抜いていく様子がはっきりと映し出されます。
ヘリに搭載されているカメラは驚くほどに高性能。レンズの倍率を上げると、なんと…!ナンバープレートがいとも簡単に読み取れてしまうほど。
その後もひたすら、追い越し車線を走り続ける白い車。すると、その前方には1台のトラックの姿が。じわじわとスピードを上げながら迫り寄り、しばらく進んでいきます。それに気づいたのか、トラックは走行車線に戻ります。
違反者や悪質な“あおり運転”を取り締まるために
事故には至りませんでしたが、白い車はそのまま追い越し車線を走り続けていきました。この車の行動は、あおり運転には当たりませんでした。
しかし警察は、走行車線に戻らず追い越し車線に居続けたため、「通行帯違反」と呼ばれる違反と判断しました。
こうした空からの映像は即座に地上のパトカーと共有される仕組みになっています。このときは、パーキングエリアの出口付近で白い車を待ち受け、パトカーが出動。すぐさま乗用車に迫り寄ります。
車両の発見から、ここまでわずか3分20秒の出来事。ドライバーはあえなく検挙されました。三重県警は、この日の取り締まりで同じく、追い越し車線を走行し続けたことによる違反で、複数のドライバーを検挙。
ヘリコプターを使ったこの取り組みは、悪質なあおり運転の取り締まりにも威力を発揮するかもしれません。
専門家に聞いた “あおり運転”防止策とは?
後を絶たないあおり運転。なぜこのような行動をとってしまうドライバーがいるのか?専門家は…。
(交通事故鑑定ラプター 中島博史 所長)
「あおり運転をしている人は、自分の行為は正当だと思っています。自動車に乗ると自分が偉くなったような気持ちに陥りがちです。自分の中での正義感に基づいてあおり運転をしてしまいがちです」
では、あおり運転の被害にあわないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか?
(中島所長)
「流れに沿わずに自分のペースで走っている、後ろに車の列を作っても(気付かずに)走っている人もいますが、こういうのもあおり運転を誘発しがちです。周りの車の流れを乱さないように、他の車が急な反応をしなくてはならない動きをしない。あおられないためには大事だと思います」
特に注意しなければならないというのが。
(中島所長)
「合流や車線変更する時で、後続車にブレーキを踏ませたり、回避操作をさせると(後続車を運転する人が)イラっとして自分の行動を妨げられたと感じて、あおり運転を始めてしまうことがあります」