
さらなる価格上昇の懸念…ワシントン条約で“二ホンウナギの取引規制”を検討 飲食店「取り合いになると上がるかも」


日本人の大好きな「うなぎ」が、さらなる価格高騰のピンチを迎えています。ワシントン条約で、新たにニホンウナギの国際取引を規制する案が検討されていて、採択されれば、海外からの輸入に大きな影響が出るとみられています。
■二ホンウナギに「規制案」 価格上昇のおそれ
ウナギの養殖が盛んな愛知県西尾市の一色町で10月21日、「うなぎ供養」が行われました。土用の丑の日などに多く食されるウナギに感謝の思いを込めて、組合に加盟する養殖業者らが手を合わせました。

近年はシラスウナギの不漁や、養殖のコスト上昇で価格が高騰していますが、さらに、国際的なウナギの取引を規制する案が浮上し、関係者の頭を悩ませています。 絶滅の恐れのある野生動物の国際取引を規制するワシントン条約では、すでに規制の対象となっているヨーロッパウナギに加え、二ホンウナギも含むすべての種類の取引を規制するよう、EUなどが提案しているのです。 採択されれば、稚魚のシラスウナギも加工済みのウナギも、輸出には政府の許可が必要になり、ウナギの価格上昇が懸念されます。

一色うなぎ漁業協同組合の田中三千雄組合長: 「『ワシントン条約に載ったウナギって食べていいの?』と、(規制されると)そういうふうに心配されるというのがありますね。われわれとしては(ワシントン条約に)可決されないことを願っております」
■愛知の名物「ひつまぶし」 規制の行方に「不安」
愛知県春日井市の「うなぎ屋たむろ」は、三河一色から仕入れた肉厚なウナギを、炭火で丁寧に焼き上げた「ひつまぶし」が人気です。

ひつまぶしの価格はおよそ1年前に300円値上げして、2025年10月時点では3690円からとなっています。もし、ニホンウナギの取引が規制されれば、国産ウナギの価格への影響が心配されます。 うなぎ屋たむろの木戸口勝一マネージャー: 「(ウナギの)取り合いになってしまうと、価格もそうだし、数も減ってしまうんじゃないかな。(規制がかかったら価格が)上がってしまうかもしれないという心配、不安はあります」 客ら: 「今も徐々に価格が上がってきている中で、結局食べ続けていますから、同じような値上がりなら、変わらず食べに行くのかなと」 「たまにはね、今は何でも(物価が)上がっているから、もうそういう感覚かな」 二ホンウナギをめぐる規制は、11月下旬から始まるワシントン条約の締約国会議で採決されます。採択されるには3分の2の賛成が必要になりますが、事務局は10月15日、すべてのウナギを「規制対象に加えるべき」と勧告しています。 もし採択されれば、2027年6月から、ニホンウナギの規制が始まり、国内で流通するウナギの価格高騰が懸念されます。

中央大学の海部健三教授: 「日本で流通しているウナギの7〜8割程度は、もともと輸入されたものです。国内で漁獲されているシラスウナギについても、価格が上昇することが予想されます。ウナギを養殖されている方々に関しましては、より速やかに影響が出てくると考えられます」