高市総理就任1週間で重要局面 トランプ大統領と初の日米首脳会談 外交専門家の採点は

高市早苗総理は11月28日、アメリカのトランプ大統領と対面では初めてとなる首脳会談を行いました。会談で高市総理は、安倍元総理が提唱した外交構想である「自由で開かれたインド太平洋」の進展に向けて「日米で協力を進めていきたい」と強調しました。そのうえで、「日本の国力を強くするリーダーとして働いていく決意だ」と訴えました。
今後、日米関係はどのように動いていくのでしょうか。現代アメリカ政治や外交に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に話を聞きました。
高市総理就任1週間でトランプ大統領と首脳会談

――高市総理とトランプ大統領の面会は、点数をつけるとするならば何点くらいでしょうか。
上智大学 前嶋和弘教授:
「両者は非常に息が合っているため、80点ほどではないかと思います。例えば防衛装備品を買う話において、日本は防衛費を早急にGDPの2パーセントを引き上げていくという話ですが、アメリカ側は3.5パーセントの引き上げを要求しています。
その数字からすると、まだ日本側としては足りないといわれる可能性があります。現時点では2人の相性はぴったりですが、今後の具体的な話になった場合にどうなるか、ですよね」

――防衛費など、まだ不透明な部分もあるので“未知数”なのですね。
上智大学 前嶋教授:
「取引の中で日本がアメリカに対して5500億ドルの投資をするという話がありますので、これがどれだけ具体的になってくるのか。日本の大手企業10 社が4000億ドルほどの投資をしようか、という話もあります。アメリカにとってみると、防衛費も投資も日本側が前向きであるため、トランプ大統領としてはうれしいと思います」
中国に依存しない動きをつくる

――レアアースや重要鉱物の供給・確保に関する文書に署名をしたという成果があります。こちらに関して、前嶋さんはどのように見ていますか。
上智大学 前嶋教授:
「日本側とアメリカ側がうまく折り合えますよね。いわゆる経済安保であり、中国に依存しない動きをつくるために、レアアースやさまざまなもので新しく日米でサプライチェーンをつくっていきましょう、と。日本側にもメリットがありつつ、アメリカ側に“プレゼント”している部分もありますよね」

――高市総理は、安倍晋三元総理の後継であると言及したという報道もありましたが、これについてはどのように評価されますか。
上智大学 前嶋教授:
「トランプ大統領にとっては、亡くなった安倍さんは一番尊敬できる同志のような人です。高市さんは、その安倍さんの愛弟子のような人であり、最初から歓迎だと思います。トランプ大統領が好意的に受け止める内容であり、『安倍さんの愛弟子』と日本側もPRポイントとして動いています」

――高市総理が「トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦しましょう」というお話がありました。その点については、どのようにとらえていますか。
上智大学 前嶋教授:
「安全保障の話、あるいはアメリカへの投資の話もありますが、これに比べるとお金もかからないから、ということだと思います。外交は最終的に日本がプラスになれば良い、と。涙ぐましい接待外交的な部分がありますが、これぐらいはやっても良い、ということだと思います」
――全体的な評価としては、両者それぞれが非常に好意的な受け止めをしたことに価値がある。そうした認識もありますか。
「おっしゃる通りです。トランプ大統領のアジア歴訪の最大のポイントが、中国との会談です。日本とアメリカの密接な関係を見せつけて中国に行く、と。これは習近平国家主席へのプレッシャーでもありますよね」
(2025年10月28日放送「5時スタ」より)





