出産目前に車にひかれて死亡 生まれてくる娘に会えなかった妻の無念 娘は重度の脳障害に 遺族の思い

愛知県一宮市で妊娠8カ月の女性が死亡する交通事故がありました。当時、お腹の中にいた女の子も意識のない状態に。女性の遺族の思いを取材しました。
「通るたびに事故のこと、妻の苦しみとかを想像するので許せない」(研谷友太さん)
手を合わせているのは、研谷友太さん。今年5月、妻の沙也香さん(当時31歳)を交通事故で亡くしました。沙也香さんは7月に出産を控えていました。
「明るくて真面目で頑固なところもあったが、おっちょこちょいなところもあって、すごく人思い。出産目前にしてすぐそこに幸せな生活が待っていたのに、それが迎えられなかったことが無念でしょうがない」(研谷さん)
常に笑顔で、周囲を明るくする存在だったという沙也香さん。事故にあったのは、5月21日の午後4時ごろでした。
散歩中の沙也香さんの背後から軽自動車が突っ込みました。沙也香さんは、意識不明の状態で救急搬送されます。
「『沙也香さんが事故に遭って意識がないんです』という話を受けました。はやく妻のもとに駆け付けないとと、色んな思いでぐちゃぐちゃになって、とにかく早く向かわないとという思いだった」(研谷さん)
友太さんから連絡を受けた、沙也香さんの父親は。
「これは夢であってほしい、それしか考えなかったですね。その後は何も頭に入ってこず、泣きながら運転していた覚えがある」(沙也香さんの父・水川淳史さん)
娘の将来を奪った罪には問われないのか

母体優先のため、お腹の子どもは帝王切開で産まれましたが、沙也香さんは、意識が戻ることなく、息を引き取りました。
「事故から搬送され初めて会った時から、別人の姿。顔は腫れ上がって、体中も血だらけ傷だらけ、頭部の内出血で目の周りも黒く、クマのようになっているような」(研谷さん)
生まれてきた子どもは、日七未(ひなみ)と名付けられました。
日七未ちゃんは、重度の脳障害を患い、事故から3カ月たったいまも意識のない状態です。
「娘が最初あのような状態で生まれて、頑張って生きてくれていることが、まず一番自分としてはうれしいことですし、妻が残してくれたもの宝物なので精いっぱい守っていかないといけないなって思っています」(研谷さん)
軽自動車を運転していた児野尚子被告は、沙也香さんを車でひいて死亡させた罪で起訴されました。しかし当時、お腹の中にいた日七未ちゃんに対する罪は問われていません。
娘の将来を奪った罪は問われないのか――
友太さんは、日七未ちゃんに対する過失運転致傷罪での起訴を求める署名活動を始めました。これまでに8万人余りの署名が集まっているということです。
「こうなったのは事故が原因なのが明らかなので、本来は娘は何事もなければ祝福されて生まれてきて、当たり前のように明るい人生を歩んできたと思う。娘のため、妻のためにできることはしたい」(研谷さん)