カンボジア拠点の特殊詐欺事件 逮捕された中国籍の男女2人 中国系犯罪組織のメンバーか

捜査に新たな展開です。カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件をめぐり、きのう新たに逮捕されたのは、中国籍の男女2人でした。その役割は何でしょうか。
日本からはるか離れた東南アジア・カンボジア。
ここにある“閉ざされた建物”から、日本に住むターゲットに向け、詐欺の電話がかけられていたとされる事件が、愛知県警などが捜査を進めている特殊詐欺事件。
8月には、この拠点で「かけ子」として詐欺行為に及んでいたとみられる日本人29人が、日本に一斉に移送されました。
それぞれこれまでに3回の逮捕を経て、現在も29人の取り調べが続いていますが、7日、事件は新たな展開を迎えました。
車に乗せられていたのは、中国籍の2人。組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕された王少凡容疑者(33)とスン・ジアシュエン容疑者(22)です。
警察によりますと2人は5月、他の人物と共謀してカンボジアの詐欺拠点から愛知県知多市の男性にうその電話をかけ、現金500万円をだまし取った疑いが持たれています。
警察は2人の認否を明らかにしていません。
拠点を管理する中国系犯罪組織のメンバーか

「逮捕容疑では、うその電話で金をだまし取った疑いですが、2人は「かけ子」ではないとみられています」(メ~テレ 真野恭光記者)
これまでの捜査で、カンボジアの拠点は「中国系の犯罪組織」が管理しているとみられています。
そして、7日逮捕された2人は中国籍です。警察は、この2人が拠点を管理する中国系犯罪組織のメンバーの可能性があるとみています。
王容疑者は日本の定住権を持っていて、スン容疑者は留学生でした。ある程度日本の事情を知っているとみられます。
警察は、2人がカンボジアの拠点と日本を行き来しながら、かけ子の日本人と組織幹部の中国人をつなぐ「通訳」の役割を担っていたとみて、調べを進める方針です。
「かけ子」の捜査から「管理側」の摘発へと発展した海外を舞台とする特殊詐欺事件。全容解明につながるのでしょうか。
日本と海外の詐欺拠点をつなぎ、”支配”のネットワークを作り上げていたか

カンボジアの”詐欺拠点”の実態についてわかっていることをまとめました。
この詐欺拠点は、中国系の犯罪組織が管理し、日本人を含む「かけ子」らに犯罪の指示や、時には暴行を加えていたとみられています。
また、逮捕された日本人29人の一部は、警察に対し「自供すると家族が組織から襲われる」などと報復を恐れ、供述を拒んでいるということです。
暴行や脅迫などでかけ子を”支配”している様子が見えてきています。
今回逮捕された2人は管理者側で、「通訳」の役割だったとみられます。2人は埼玉県の川口市に住所があり、日本でも何らかの活動を行っていた可能性もあります。
つまり、この2人のような犯罪組織と関わる人物が、日本と海外の詐欺拠点をつなぎ、”支配”のネットワークを作り上げているのでないかとみられています。
捜査関係者は、私たちの生活のすぐ近くまでそういった存在が忍び寄っている可能性があり、特定・摘発することが急務だと話しています。