「朝食にようかん」京都の老舗和菓子屋の経営危機を救った新しい食べ方 累計80万袋の大ヒット商品に

京都にある1803年創業の老舗和菓子店が、「ようかん」の全く新しい食べ方を提案し、大ヒット商品となっています。
パンの上に“のせる”おみやげが人気に

年間8000万人を超す観光客が訪れる京都。京都は日本屈指のおみやげ激戦区です。京都駅直結のジェイアール京都伊勢丹には、和洋さまざまなみやげ菓子を買える店が100店以上あります。その中で注目を集めているのが、「スライスようかん」です。

作っているのは、京都で200年以上の歴史を持つ老舗和菓子店・亀屋良長。8代目の女将の吉村さんが考案しました。
亀屋良長 8代目女将 吉村由依子さん:
「パンにのせて焼いたら、小倉バタートーストが食べられるお菓子です」

あんことバターを薄切りのようかんにして1つに。食パンにのせて焼けば、手軽に小倉バタートーストが完成します。
しかし、200年以上続く老舗がなぜこの商品を販売しようと考えたのでしょう?

亀屋良長 女将 吉村さん:
「朝ごはんを作っているときに、長男にはスライスチーズを(食パンに)のせて焼いて、次男のパンにはあんこを塗っていたんですけど、こういう(スライスされた)あんこがあったら、ラクに小倉トーストができていいかもって」
子育ての困り事から生まれた商品だといいます。
あずきの風味やスライスした厚みを試行錯誤

あずきの風味を感じられる粒感や、食パンと相性のよい厚さを追求すること1カ月。商品化へ踏み出し、販売を開始すると大きな反響がありました。
亀屋良長 女将 吉村さん:
「和菓子に興味のなかった方も、朝食においしい食パンが食べられるなら、とまとめて買ってくださることもあります。ちょっとした手土産需要って感じですね」

和菓子としては手つかずだった朝ごはんの市場を開拓。おみやげとして配ることができる小分けのパッケージも好評で、いままで少なかった男性や若年層のお客さんが増えました。
累計80万袋、4億円以上を売り上げる大ヒット。店全体の売上高も倍増しました。
亀屋良長 女将 吉村さん:
「ネットからの注文が10%〜15%くらいです」

おみやげとして全国に広まり、ネット販売を通じたリピート買いも増加。現在は関東からの注文が約5割だといいます。
さらに、秋限定の「小倉バター×焼き芋」や春限定の「小倉×いちご&ラズベリー」など、季節ごとに限定味を展開。より多くの人の目に留まるように、和菓子みやげの新境地を切り開いています。

亀屋良長 女将 吉村さん:
「いままで食べたり買ったりする機会が少なかった方にも届くと、とてもうれしいなって思います」
日本経済新聞社 足立佑太記者:
「京都に訪れる観光客は右肩あがりで、コロナ以降増加しています。伝統企業とはいえ、新しい挑戦を繰り返して新しい商品を生み出していくというのは非常に重要です」
※吉村の「吉」は正式には土に口