「津波が反射されて返ってくる」長引いた津波への警戒・注意と発災から長時間後の最大波のワケを専門家解説

カムチャツカ半島付近で起きた地震による津波注意報は解除されました。なぜ24時間以上、津波への注意が呼びかけられたのでしょうか?
7月30日午前8時半ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近で地震があり、気象庁は午前9時40分に愛知県外海、三重県南部に津波警報を、伊勢・三河湾に津波注意報を発表しました。津波は東海地方の各地に到達し、田原市赤羽根では50センチを観測しました。
30日午後6時半に、愛知県外海と三重県南部の津波警報は津波注意報に切り替えられ、31日午前11時前、津波注意報は全て解除されました。この津波の影響で、トヨタ自動車は31日日中、国内11工場18ラインの稼働を停止していました。
24時間以上津波への注意が呼びかけられた今回の地震。なぜ、津波警報・注意報が出続けたのでしょうか。
名古屋大学 減災連携研究センター 富田孝史教授:
「今回カムチャツカという日本から離れた場所で巨大な地震が起こった。さらにその地震が大きな津波を発生させた。特に気象庁の報道をみると、天皇海山列という太平洋の海中に山脈がある。そういったところに津波がやってくると、そこで津波が反射されて返ってくる。そうすると、太平洋に向かった津波は伝わる距離が長くなるので、その分日本に到達する時間も遅くなる」
また、日本の沿岸部特有の地形も影響したと話します。
名古屋大学 大学院環境学研究科 富田孝史教授:
「それ以外にも、日本に伝わった波が日本の沿岸を伝わってくる。1回、日本にぶつかって、それが日本で反射されて太平洋に戻るが、その一部が日本の沿岸に捕捉されてしまって、日本の沿岸を伝わる波もある。津波の進むスピードは海の深さが浅いほど遅くなる特性がある。日本の沿岸は沖合に比べると浅いので、伝わるスピードも遅くなる」
30日午後11時前、田原市赤羽根で観測した50センチの津波が、愛知県内で観測した津波の中で最も高くなりました。なぜ発災から12時間以上経過した津波が最も高かったのでしょうか。
名古屋大学 大学院環境学研究科 富田孝史教授:
「沿岸を伝わる津波や沖から反射波が伝わるなど、色々な方向から津波がやってくる。それが重なると津波は高くなるので、そういった影響で12時間以上経過してから最大波が観測されたのでは」