“中止”公約の市長「アリーナ事業進める」と明言 愛知・豊橋市で初めての住民投票 結果は賛成多数

参議院選挙と並んで注目されたのが、愛知県豊橋市で初めて実施された「住民投票」です。約230億円をかけて行うアリーナ事業をめぐり、去年の選挙では、中止を公約した市長が当選しましたが、今回の住民投票は「事業の継続に賛成」という結果になりました。
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豊橋市で初めて行われた住民投票。豊橋公園の野球場を取り壊し、公園の東側を整備する総事業費約230億円の「新アリーナ計画」について、事業継続に賛成か、反対かを問いました。
そもそも、豊橋市のアリーナ事業は、前の市長が去年9月に事業者と正式契約を結んでいて、再来年の開業を目指していましたが…
事業に反対し、契約解除を公約にした長坂尚登市長が去年11月に当選。その後、約8か月間、事業はストップしています。賛成か、反対か。豊橋の街を「二分」する議論が繰り広げられてきたのです。
そして迎えた、20日の住民投票。
(投票した人市民)
「楽しみに投票に来た。朝一番に行こうと思って」
「初めてのことなので、市民の意見がしっかり反映されるといいな」
「豊橋の今後に関わることだと思うので、真剣に投票した」
投票率は65.67%
住民投票の対象は18歳以上の市民約29万人。このうち約19万人が一票を投じました。投票率は65.67%。結果は「賛成」が10万6157票で、「反対」票を約2万4000票上回りました。
(「新アリーナを求める会Neo」小林佳雄代表)
「本当にありがとう。素晴らしい」
(「新アリーナ・豊橋公園整備を応援する会」竹内裕二会長)
「きょうがゴールではなく、スタートだと思う」
一方で反対派は…
(「豊橋公園の緑を未来につなぐ市民の会」藤田茂樹共同代表)
「このような結論が出てしまったことは、残念で先頭に立っていた私としては申し訳ない」
そして、市民は…
(豊橋市民 20代)
「豊橋が良くなってくれればという思いを込めて投票したので、結果には満足している」
(豊橋市民 80代)
Q.今後ノーサイドでやっていける?
「やってもらわないと困るよね」
(豊橋市民30代)
「簡単には和解できないのかな。ちゃんと説明責任を果たしながら進めていくのが大事かな」
(豊橋市民50代)
「賛成の市民が多いから、そこは市長も折れてほしい」
ただ、今回市民が示した判断は、去年11月の選挙で市長が公約した内容とは真逆の結果。市長はいったいどうするつもりなのでしょうか。
市長「事業を継続してほしいという市民の選択だと判断」
21日午後、長坂市長が住民投票後初めて、取材に応じました。
(豊橋市 長坂尚登市長)
「これは事業を継続してほしいという市民の選択だと判断し、そのように進めていく。お金の面は正直わからない。時間的な意味で言うと、当然早く事業を再開して早く公園やアリーナを使えるようになるのが望ましい。市民の選択を尊重する・事業を継続していく前提でやっていくのが、今の私の職務であり、責任。気持ちとしてはもう切り替えたつもりでいる」
住民投票の結果を踏まえて、再びアリーナ事業を進めると明言。一方、事業の遅れによるコストアップや資材高騰にどう向き合うのか。事業計画230億円に含まれていない、その費用の総額はまだはっきりしていません。