仕事納めもガッツリと…年末に市民が『うなぎ』を食べる街・三重県津市 背景に昔“流通コスト無し”で仕入れられた安さか
三重県津市では「うなぎ」で1年を締めくくる人たちがいます。うなぎの養殖に適した土地だった津市では、昔から安く食べられたことから、市民に愛されてきた歴史がありました。
■“仕事納め”や“忘年会”でうなぎ 店は12月も繁忙期
津市内の老舗うなぎ店「つたや」では12月23日午後、多くの人がうなぎを食べていました。うなぎといえば、土用の丑の日など夏のイメージがありますが、12月終盤も繁忙期を迎えています。
客: 「市役所の方も、仕事納めの最後の日はうなぎを食べに行く文化があると聞いたことがあります」 つたやの鈴木利紀也オーナー: 「忘年会とかでうなぎを食べるというのもよく聞きますし、ここで最後の食事を楽しんで仕事納めという方も結構いらっしゃる」 市内の会社で働く男性4人組も、仕事納めでうなぎを食べに来ていて、苦楽を共にしてきた同僚たちとうなぎを食べながら、1年間を振り返っていました。
男性4人組: 「元気出ますよね。うなぎだ!という感じですよね」 「今日は一応納めのつもりで来たけど、食べるとまた『もう1回、年末行こうか』と。誰かが音頭取ったら行くと思います」
■なぜ年末に食べるのか…津市に“うなぎが安い”歴史
年末にうなぎを食べる理由について、津市観光協会の川村暁洋さんは「市民に根付いた食文化がある」といいます。 津市観光協会の川村暁洋さん: 「もともと津市は大きな川が4つ流れていまして、うなぎの養殖に非常に適した土地柄だったんです。津市のうなぎ屋さんは流通コストなしでうなぎを仕入れることができた。ですので他地域よりも安く仕入れたうなぎを安い価格で販売したというのが、今、津市のうなぎがお値打ちだという最初なんですね」
1930年代には市内に200以上あった養鰻業者も、伊勢湾台風の被害などがあり、現在ではゼロになりました。かつて養鰻池があった場所は、住宅や太陽光発電に変わっています。
それでも安さの伝統は受け継がれていて、市内に20軒ほどある中の多くの店では、2000円前後でうな丼を楽しめます。 川村暁洋さん: 「(津市民は)基本的にうなぎが好きなんです。特別感はないですね。選択肢の一つにうなぎがあって、一番好きだから『じゃあ、うなぎ』という感覚だと思います」