「中国には次の計画が」 夢のエネルギー「核融合」に忍び寄る「中国」の影 日本のものづくりが正念場
ITERの副機構長を務める鎌田裕さんに夢のエネルギー「核融合」のメリットと課題について、話を聞きました。
ITER副機構長 鎌田裕さん:
「エネルギーの消費を心配しなくていい、それが安全であるという安心の上で心配しなくていいという世の中になるかなと思います。非常に沢山のエネルギーを少ない量の燃料から生み出すことができるというのが大事なポイントなんです」
ITER副機構長 鎌田裕さん:
「核融合を起こすためには『1億度』の温度が必要だといいましたけども、高い温度になると物質が「プラズマ」になるんですね。それがちゃんと制御できて、本当に思った通りの高い温度になるか。高い温度のプラズマを生み出す制御技術がまず第1です」
その技術の見通しが立ち、ITER計画は進んでいました。しかし、11月下旬、2025年としていた運転開始時期が9年遅れて、2034年に延期となりました。
ITER副機構長 鎌田裕さん:
「ものづくりの難しさです。核融合炉って、ITERだと高さが30メートル、直径が30メートルとすごく大きいんですが、許される誤差がミリメートルくらい。“溶接のおばけ”みたいな真空容器の精度が出なかったんですね」
この計画では、少しのズレも許されない、ものづくりの精度が必要になっていたのです。
この課題を解決したうえで、鎌田さんは「日本はさらにやるべきことがある」と指摘します。
ITER副機構長 鎌田裕さん:
「日本は最先端なんです。だから、ITERの難しい超電導コイルの半分は日本製。間の工程も含めると、全部経験したのは日本だけなんです。日本はそこまでのところまで持ってきたんです。でも、ITERは終わりました。その次に作るプロジェクトが今ないんです。
そうすると、せっかく育ってきたメーカーの人材、あるいは技術。例えば10年ものづくりがなかったら、それは雲散霧消してしまう。中国は日本より多くの人をかけて、同じようなことを学びながら進めてきていて、すごい勢いなんですよ。そして彼ら(中国)には次の計画があるんです。
日本は今はすごいけど、次の計画が決まっていない。ここの差は、今後の10年間を考えたときに日本がまだフロントランナーでいるためには、もっといろんなことを考えないとこの地位を維持することはできないと思います」