まるで「SF番組」発射したロケットが帰還 激しい小型ロケット開発競争 日本のベンチャー企業が挑戦
天気予報で重要な役割をするのが衛星です。実はこの衛星の打ち上げをめぐって、今、世界で競争が起きています。
2024年10月、アメリカの実業家・イーロンマスク氏が率いる「スペースX」で仰天の出来事が起きました。打ち上げから1分40秒後・・・
1段目のブースターが分離されると、雲の中へ。一体、どこに向かうのか。
なんと発射台へ戻ってきました。
この発射台でのキャッチを目撃したスペースXのスタッフは大騒ぎ。“発射したロケットが戻ってくる”まるでSF番組のようです。
世界で激化するロケット開発で今、注目されているのが小型ロケットです。
小型ロケットは、衛星をピンポイントに宇宙に届けることや、打ち上げ経費が安く済むことなどが利点で、実業家の堀江貴文さんが出資した「インターステラテクノロジズ」や、日本のJAXAも開発を急いでいますが、11月26日、イプシロンSのエンジン燃焼試験中に爆発し、目指していた2024年度内の打ち上げは不可能に。
日本の小型ロケットの開発が出遅れる中、14日に日本のベンチャー企業・スペースワンが小型ロケットの発射実験に挑みます。ロケットの名前は「カイロス」。全長18メートル、重さ約23トンの小型ロケットです。
挑戦する意義について、スペースワンの遠藤守取締役に話を聞きました。
スペースワン 遠藤守取締役:
「宇宙宅配便。宇宙に超小型の人工衛星を運ぶ仕事を始めようとしている」
今回の打ち上げでは、5基の衛星をロケットに載せて宇宙に運び、光通信などの実験を行います。この挑戦の背景にあったのは宇宙産業に参入する民間企業の増加です。
スペースワン 遠藤守取締役:
「小型の人工衛星が実利用にも充分耐えうるような性能を持つようになってきている。併せて小型の衛星によって新しいビジネスをしようというベンチャーがどんどん増えている。通信とか、地球観測とか、あるいは科学的な宇宙の観測とか、宇宙に行ってやる仕事がある」
今回はロケットの製作にも、今まで宇宙産業に関わりのなかった企業が参加しています。例えば…
スペースワン 遠藤守取締役:
「自動車産業の会社。小型ロケットなので、従来の大型ロケットに載っているような機器ではとても載せられない。自動車の関係の仕事をされていると、やはり小型の高性能のものを作るという観点では非常に慣れている」
遠藤さんは今回の打ち上げについて意気込みを語ります。
スペースワン 遠藤守取締役:
「ほかの産業と同じように宇宙も民間が主体となって新しい使い方をどんどん考えて広げてくる。そういうニーズを捉えて事業をしていこうというチャンスが来たと思っている。衛星の打ち上げのミッションを達成することによって我々のビジネスがようやく本格的にスタートできる。今後このカイロスロケットを使って、世界の小型衛星の打ち上げを進めていきたい」
カイロスは、今月14日に和歌山県串本町から発射される予定です。