
コメ価格はどうなっていく? “古古古米が5キロ1800円”の衝撃 備蓄米放出で起きる複雑な流通問題とは【大石解説】

コメの価格をめぐり期待と不安がある中、新たな動きが出てきました。備蓄米の対応は目まぐるしく変わっていますが、最新の状況を確認していきましょう。
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コメ価格の三極化と更なる変動の可能性
現在、コメの価格は三極化しています。1つはブランドの銘柄米、もう1つは2023-2024年産米の備蓄米を含んだブレンド米、そして次に放出される予定の2022年産中心の2000円程度で販売される備蓄米です。さらに、その次には2021年産の古古古米が放出される予定で、これが1800円程度まで安くなる見通しという話も出てきました。
立憲民主党の野田代表は「備蓄米の袋詰めの課題が克服されないと消費者に届くのに時間がかかる可能性がある」と話しています。
実際に私(大石邦彦アンカーマン)が取材した現場では、まず玄米から白米にする精米があり、その後に色彩選別機というものがあるそうです。これは何かというと、例えば高温障害だとコメは白くなり過ぎます。また、カメムシの被害が出ると黒くなるため、コメの色で選別するそうなんですね。そして袋詰め作業、これは袋も発注しないといけません。さらに袋に詰める前に人間の目での検品もあり、この作業が必要になります。
精米作業の“ネック”と価格への影響
このような精米作業は通常、卸売業者が行ってきましたが、今回は卸売業者を飛ばして小売りに直接行くルートも検討されています。しかし、すべての小売り業者がこれらの作業をできるわけではありません。
どこがこの精米作業などを請け負うのかは、まだ分かりませんが、有力なのは大量の玄米をさばくことができる精米機を持っている卸売業者です。政府から“時間がかかるから”と一気に中抜きして小売りにいきましたが、精米できないとなると卸売業者に戻っていくそうなんです。
以前取材した岐阜市にあるギフライスは、2つの企業から備蓄米の精米の委託を受けているそうです。通常このルートなら精米するわけですが、今度は小売りから、精米してくださいという委託を受けているということで、早いのか遅いのか、よくわからない展開にもなっています。
コメを買う立場からすると、価格がどうなるかが最大の関心事です。最新の情報では、スーパーの小売り価格は5キロで4285円となっています。これはおそらく短期的にはちょっと下がるのではないかという見立ての方が多いです。というのも、これまで落札されたものの、市場に出回っていない江藤前大臣時代の備蓄米が9割ぐらい残っているんです。その9割が今度出てきます。そのためここでちょっと下がる可能性があります。つまり、これから少し下がりますが、下がったとしてもそれは小泉大臣効果ではないということなのです。
実際に小泉大臣の備蓄米も出回ったら、もっと安くなるかもしれませんが、長期的に見ると銘柄米などの在庫はもうほとんどないということが言えるので、その意味では、価格は下がらないとの予測が立ちます。実際に今後どうなっていくのか関係者も注目しております。