【参院選/それってほんと?】「期日前投票はすり替えられる」? SNSで拡散する“選挙のデマ” 「期日前」「不正」の投稿が急増 自覚なく陥ると怖い“フィルターバブル”も要因に?

7月20日投開票の参議院選挙で使われる投票箱は、投票口まで鍵で守れるようになっています。ところが今、SNSでは「期日前に投票すると、すり替えられる」などというデマが拡散しているようです。
期日前投票は危険? 投票用紙の書き換えと投票箱すり替え説を検証

先週公示された参議院議員選挙。投開票日の20日は三連休のなか日ということで、期日前投票の利用が増えるとの見方もあります。
しかし、期日前投票をめぐってSNSでは「鉛筆で書くと書き換えられる」「投票箱がすり替えられる」など選挙の不正を疑う投稿が。

SNSのXで「期日前」「不正」のキーワードを含んだ投稿の数をあらわしたグラフを見てみると、去年行われた衆院選、兵庫県知事選や先月の都議選の前後などで急激に投稿数が増えていました。今回の選挙でも公示後にすでに1万件以上の投稿がされています。

本当にそんなことが起こりうるのか、検証してみることに。
まずは、鉛筆で書いた投票用紙を書き換えられるかについて、実際の投票用紙と同じ素材の模擬投票用紙を使って試します。
鉛筆で書いた投票用紙を消しゴムで消してみると、普通の紙より消しにくく、しっかりと力を入れないと消えません。消すことはできましたが、投票用紙には書いた跡が残りました。

名古屋市選挙管理委員会 炭谷一樹 課長補佐:
「投票用紙の素材は、普通の紙とは違う特殊な加工がされています。鉛筆で書いて消すと跡が残る」
跡が残りやすいため、一度消された投票用紙であることは判別しやすくなっているといいます。
SNSで言われている大量の書き換えが仮に起きた場合は…
名古屋市選挙管理委員会 炭谷一樹 課長補佐:
「(書き換えが)あまりにも多い場合には開票所の立会人や管理者と相談して、投票の効力を決定していくことになります」

次に検証するのは、期日前投票の投票箱をすり替えることはできるのかについて。
投票箱は2か所以上で施錠して保管することが法律で決まっています。鍵の保管については…
名古屋市選挙管理委員会 炭谷一樹 課長補佐:
「鍵用の保管の封筒を準備していて、鍵をそれぞれの封筒に入れて封をして、投票所の立会人の管理者に割り印をいただいて、投票箱とは別に保管する方法をとっています」

期日前投票では、期間中は毎日、投票時間を過ぎると鍵を閉め、その鍵を封筒に入れて保管します。
もし、夜のうちに投票箱そのものを取り換えたとしても、翌朝、鍵が違うため投票箱が開かず、すり替えられたことが分かるようになっています。
名古屋市選挙管理委員会 炭谷一樹 課長補佐:
「選挙の管理・執行については各種法律で厳格に定められている。不安に思う点がありましたら、選挙管理委員会にお問い合わせいただければ」
自覚がないと怖い…SNSの「フィルターバブル」とは?

投票箱も投票用紙もしっかり管理されていて、不正が起こらないようになっているのに、不正を疑う投稿が広がってしまう。これにはSNSのある特徴が関係しています。
SNSには、ユーザーが見た投稿と似た投稿を自動的に表示する仕組みがあり、一度ある分野に興味を持つと、それに近いものばかり目にすることに。その結果、違う意見の投稿に触れにくくなってしまいます。
この状態は、情報のフィルターに取り囲まれているようだということで「フィルターバブル」と呼ばれています。
自覚なくフィルターバブルに陥ってしまうと、自分が見る投稿が“世論のすべて”と錯覚。選挙の不正について調べていると、肯定する投稿しか出てこなくなるので、誤った情報でも段々と信じ込んでしまい、自分も投稿や拡散したりするようになってしまうのです。
SNSは広く多くの情報を得られる便利なツールではありますが、不確かな情報に振り回される危険性も。期日前投票だけでなく、特定の政策や発言をめぐってもフィルターバブル状態に陥っていないか、改めて見つめ直してみる必要があるかもしれません。
SNSで選挙制度や政策などの情報を集めるときは、情報元や根拠を必ず確認するようにしましょう。