観客ゼロの試写会 岐阜・関市舞台の映画「名もなき池」トラブルで市は制作側に補助金2000万円返還請求

岐阜県関市が、補助金2千万円を出した映画をめぐるトラブル。21日に試写会が兵庫県の淡路島で行われましたが、観客はゼロでした。どうなるのでしょうか?
「よもや、こんなトラブルになるなんてことは想定をしておりませんでした。この段階で、残念な状況であると感じている」(岐阜・関市 山下清司市長)
表情を曇らせる、関市の山下清司市長。
悩みの種は、地元・関市を舞台にした映画「名もなき池」です。
撮影地にもなった、通称「モネの池」を訪れると――
Q.「名もなき池」をめぐる問題について
「映画の話」
「いますごくニュースで話題になっている」(“モネの池”を訪れた人)
この映画は観光客の呼び込みなどをねらいに、おととし関市が作品を公募し、兵庫県の会社が制作に着手。
市は「国内の複数の映画館で、今年3月末までに公開すること」などを条件に、あわせて2000万円を交付していました。
制作をめぐってトラブルが…

しかし、制作をめぐってはトラブルが。
「ギャラが半分しか支払われていない。(会社側から)残りのギャラは『クラウドファンディングしなければ難しい』と言われました」(主演俳優 伊達直斗さん)
具体的な公開スケジュールもなかなか示されず、市が会社側に質問状を送るなど混乱が続いていました。
約100席ある客席に一般の観客はおらず

そして20日、岐阜県から遠く離れた淡路島の映画館で試写会が開かれました。
しかし、事前の告知が十分でなかったからでしょうか。
約100席ある客席に一般の観客はいませんでした。
いてもいいはずの出演者や、関市の担当者の姿も見当たりません。
編集が不十分ともとれる場面も

映画は刃物の街・関市ゆかりの刀鍛冶の男性が主人公の物語。
「モネの池」として知られる市内の美しい風景を舞台に、男性と高校生の娘をとりまく人間模様を描く内容です。
試写会を取材した記者によりますと、近隣の山県市や岐阜市のスポットも登場します。
一方で、口の動きと音声がずれるなど、編集が不十分ともとれる場面もあったということです。
市は補助金2000万円の全額返還を求める

この映画のプロデューサーの男性と以前から知り合いだったという、映画館の支配人は。
「作品は人それぞれの感想があると思うが、できればたくさんの人に見ていただければうれしい。プロデューサーは岐阜のPRになればという思いで、(映画を)つくっていると思うので、そのようになればいいなと思う。いろんな所で話題になればうれしいです。(今回とは)違ったかたちで」(洲本オリオン 野口仁支配人)
会社側は3月末から、この映画館と愛媛のあわせて2つの映画館で映画を上映するとしていますが、市は会社側の対応に誠意が見られないなどとして、補助金2000万円の全額返還を求めるとしています。
「趣旨がしっかり達成できないことになるかと思うので、納税者や関わった皆さまには、混乱をきたして申し訳なく思っている。刀匠など関市独自の切り口で、ヒューマンドラマみたいなものだったので、私の印象としては非常に期待していた。(試写会も)駆け込みでアリバイのような仕事をやっているようにお見受けする」(山下市長)
関市民が映画を鑑賞する機会はある?

この状況に市民は――
「上映をこっちでとは思うよね、2000万円も払っているし」(関市民・60代)
「映画に限らず福祉とか、子どもに使ってほしい」(関市民・60代)
「愛媛と淡路島の人がそれを見て、『関市に行こう』と思ってくれたらいいけど。遠いしね」(関市民・30代)
2000万円の返還請求に対し、メ~テレの取材に応じたプロデューサーの男性は「専門家と協議をしたうえで対処する」としています。