大量発生で果実に被害もたらした「カメムシ」2025年も大量発生か 生活への影響や対処法を解説

臭いだけではなく農作物に甚大な被害を及ぼすカメムシ。特に2024年には大量発生しました。愛知県内の平年の誘殺数は181.3頭ですが、24年は659頭と3.6倍もの数に増加。過去10年で最も多く、果物を中心に被害が出ました。
カメムシによる生活への影響や対処法について解説します。
カメムシの数が過去10年で最多に

昆虫の生態について詳しい南九州大学の新谷喜紀教授に話を聞きました。カメムシが増える要因は大きく2つあります。
1つ目が前年の数です。実はカメムシは越冬といって2024年の秋の成虫が冬を越すんです。そして暖かくなった春に活動を始めます。愛知県農業総合試験場によると、県内の誘殺数は平年181.3頭のところ2024年は659頭と3.6倍となり、(9月・チャバネアオカメムシ)過去10年の中で最も多くなったのです。
これだけ多くなったカメムシが、まとめて冬を越してくることになります。
冬の気温が高いほど越冬しやすい

もう1つの要因が気候です。冬の寒さが厳しければ死んでしまうため、冬の気温が高ければ、より越冬しやすくなります。
この前の冬は平年並みで、越冬しやすいというわけではありません。ですが、2024年の数がとにかく多かったので、死んでしまう個体が一定数いたとしても越冬する個体が多いおそれがあります。

愛知農業総合試験場が2025年、カメムシがどれくらいの数、越冬しているかを調査した越冬成虫密度を見てみると、豊橋市や豊川市では平年より豊田市では3年の平均より多くなっています。
1キログラムあたりの価格が約50円高くなった

いずれもカキやナシなどが特産の地域ですので注意が必要です。そうなると、作物への被害が心配です。愛知農業総合試験場によると、2024年はナシやモモ、カキなどに被害が出たのです。
例としてカキを見てみると、カメムシによる被害は過去10年で最多に。生産が盛んなJA豊橋に聞くと、カメムシだけでなく高温など別の要因もありますが、出荷量は前年の84.3%にとどまり、1キログラムあたりの価格は約50円高くなったといいます。
「特効薬のような対策はない」

では、どのような対策が必要になるのか、豊田市のJAあいち豊田に聞きました。残念ながら特効薬のような対策はないそうですが、重要なのは「農薬を散布するタイミング」とのこと。農家に対しては早めの防除を呼び掛けていると話していました。被害が甚大になると、価格が上がってしまうおそれもあるそうです。
また、カメムシが外敵から身を守るときに放つ臭いについても注意が必要です。新谷教授によると、カメムシを刺激しなければ臭いを出すことはないといいます。
切ったペットボトルを使ってつかまえる

そこでおすすめなのが、切ったペットボトル。飲み口の部分と底の部分を2分割にして、カメムシを上下で挟みます。ペットボトルの中に落とすことで刺激せず臭いを防げるんです。

そのあと、ペットボトルを重ねてティッシュを詰めれば捕獲完了。万が一、手に臭いが付いてしまった場合は、サラダ油やオリーブオイルで洗いましょう。カメムシの臭いの成分が油に近い物質であるので、油で洗うと落ちやすくなるといいます。
そしてそのあと石けんで洗うと、臭いがとれやすくなるそうです。今後の参考にしてみてください。