
精巧な「ネジ形チョコレート」が土産としてヒット モノづくりの街「北九州市」魅力再発見で新商品誕生

愛知県同様、ものづくりの街として知られている福岡県北九州市。しかし、土産店に並ぶのは福岡市が本社のお土産ばかり。そこでお土産でものづくりをアピールしようと、北九州市ならではのチョコレートが誕生しました。愛知県豊田市のトヨタ博物館でも販売されるこのチョコレートとは一体、どんなものなのでしょうか。
福岡市のおみやげが目立つ北九州市のみやげ店

福岡市に次ぐ九州第2の都市、北九州市。1901年創業の「官営八幡製鉄所」を中心に重化学工業の街として発展してきました。玄関口の小倉駅の土産店にいるお客さんに購入した商品を聞いてみると、福岡市が本社のお土産ばかり。売店にも「ひよ子」「博多の女(ひと)」など福岡市のお土産が目立ちます。
2015年、官営八幡製鉄所の関連施設が世界遺産に登録されたことを受け、お土産でものづくりをアピールしようと商工会議所や地元企業が立ち上がりました。

北九州市のお土産として開発した商品がネジ形チョコレート。箱の中にはボルトとナットが入っていて、本物のネジのように締められるんです。
ネジチョコ購入者:
「(子どもが)喜んでいました。何か変わっているから。でも『食べるのがもったいない』って(笑)」
15個入りで価格は1512円。SNSでは、ネジを「回してみた」動画が話題となり、年間売り上げは、2億円を越える北九州市を代表するお土産になっています。
ひと口サイズのネジ形でしっかり締まる

ネジ形チョコレートを作ったのは、北九州市のオーエーセンター。情報通信機器の販売や工事を行っている会社です。
オーエーセンター 吉武太志社長:
「ひと口サイズのネジ形で、それがしっかり締まるというそういったチョコレートを作れば、北九州市のものづくりや技術力の高さが示せるのではないかと思って、ネジ形にしました」
異業種ならではの発想と技術が「鉄の部品をお土産に」という斬新な発想のベースになりました。チョコの原型は3Dプリンターを使って自作。ボルトとナットがスムーズに閉まるよう試作を繰り返しました。

ネジチョコの製造工程を見せてもらいました。
チョコを型に入れて冷えたら型から抜きます。さらに別々に作られたボルトとナットは、ペアになるようにより分けられます。

チョコならではの工夫も。本物のネジに比べると溝に丸みがあります。
オーエーセンター 吉武社長:
「電球みたいな(溝が丸い)Rネジにしてなかなか引っかからないようにということで国内と海外の3カ国で特許を取得しています」

地元の小倉駅で売られているほか、東京や沖縄でも販売。ほかにもアメリカや香港などへ輸出も行なっています。自社の3Dプリンターを使って型をつくっているため、新商品を低コストでスピーディーにつくれるのが強みです。
トイレ形のチョコレートや、飛行機が出来上がる商品も

北九州市に本社がある、TOTOをイメージした便器がモデルのトイレ型チョコレートの商品や、日本航空とのコラボで生まれた商品も。7枚のサブレを4個のネジチョコで止めると飛行機が完成します。

今後の狙いはチョコを使った北九州市への観光客誘致です。
オーエーセンター 吉武社長:
「新たな場所に、いまの3倍ぐらいの規模の工場見学ができるような、そういった新しいファクトリーを作っていきたいです」
日本経済新聞社 木下修臣 北九州支局長:
「ものづくりの街ならではのアイデアが斬新でかつ精巧な製品につながった。海外へも日本の技術力をPRする菓子となる可能性があります」