「カレーライス物価指数」からひも解く物価高騰の背景 「コメも野菜も高い」本場のインドカレー店が悲鳴

野菜や肉、ご飯をバランスよく、かつ手頃な価格で食べることができるカレーライス。しかし、民間の信用調査機関である帝国データバンクが発表した「カレーライス物価指数」によると、2025年1月の価格は396円と過去最高でした。
なぜカレーライスの物価指数が上昇しているのか。今回は家庭料理の定番であるカレーライスを切り口に、物価高騰の現状とその背景をひも解きます。

「カレーライス物価指数」とは、カレーライスを作ると1食どのぐらいの費用がかかるかを示した指数です。24年12月と比較して25年は79円も上昇しており、2020年と比べると120円以上も値上がりしています。理由の1つがコメと野菜の価格高騰です。
カレーライス1皿あたりのコメの価格は、24年1月には92円だったのが、ジリジリと上がり続けて25年1月には158円に。さらにカレーライスの具材となる野菜や肉も209円と高値となり、カレーライス物価指数を押し上げていました。
ナンの材料費も高騰、「お客さんのために」おかわり可能に

高騰する野菜をメインにした「ベジタブルカレー」を看板メニューにするのが、大須商店街で15年以上愛されるインド・ネパール料理店「インパール」です。カレーライスの食材に使われる、ニンジンやタマネギ、ジャガイモなどほとんどの具材の価格が上がっているといいます。
・ニンジン(10キロ)
約500円(2020年)→約2000円(2025年3月)
・ジャガイモ(10キロ)
約2000円→約3000円
・タマネギ(20キロ)
約1000円~1500円→約3000円
・食用油(16.5キロ)
約2500円→約5000円
・コメ(国産10キロ)
約2000円→約6000円
――かなり上がっていますね。
インパール 店主 レグミ ビシュヌ プラサドさん:
「上がっています。自分で買い物に行ったときは、ニンジン 10キロ約500円で買えたことはある。いま同じように買おうと思うと、2000円くらいかかります」
――タマネギは2倍以上になっていますね。お店にとってはかなり負担になるのではないでしょうか。
「もちろん。よく使うのがタマネギだから。私たちが作るカレーは、タマネギをすごく多めに使っています。カレー屋さんには欠かせない」

――食用油も2倍ですね。
レグミ ビシュヌ プラサドさん:
「しんどい状況です。コメも3倍の価格になっています」
――コメが高いならば、ナンを頼んだほうがお店としてはありがたいですか。
「一緒です。ナンの材料の小麦粉や卵、牛乳の価格も全部上がっています」
――そんな中で、1枚おかわりをさせてくれるのですね。
「あれはね、お客さんのためです。ずっと前からやっていることで、お金をもらうわけにはいかないし。変えられません」
イカの価格上昇もカレーライスに大きな影響が

そして野菜だけでなく、魚介類を使用する「シーフードカレー」の具材も例外ではありません。シーフードカレーに入る具材の1つであるイカの価格も上がっていました。
総務省の消費者物価指数によりますと、2019年2月のイカの価格は100グラムあたり140円でしたが、少しずつ価格が上昇し、2025年2月中旬には280円と2倍の価格になっています。

魚安商店 弘中孝宜さん:
「温暖化の影響ですね。あと獲りすぎちゃったというのが一番かな、と。なかなか獲れない魚を漁師さんも獲りに行くこともないので、漁獲する人が少なくなったのが理由かと思います」
――今後の価格についてはいかがでしょうか。
魚安商店 弘中さん:
「下がる感覚はまったくないですね。高値が続きそうです」
今後のカレー物価指数を専門家が予測

カレーライスのような日常的な料理に関する物価の変動は、多くの家庭にとって無視できない問題。今後のカレー物価指数について、帝国データバンクの飯島大介さんは「大台の400円を突破するのではないか」と予測します。
帝国データバンク 飯島大介さん:
「現段階では我々としてもどの価格帯が天井になるのか、ということはまったくもって予想できないのが正直な感想です。2月段階においては、引き続きコメの価格が上昇していること。それから野菜価格についても平年を上回る価格で推移していることから、少なくとも2024年よりも大幅に価格が上がることはまず間違いない。
大台の400円を突破するのではないかというのが、かなり現実的なところまで来ている状況です」