宿不足が深刻な札幌で注目集める民泊対応の分譲マンション 大手デベロッパーが熱視線

多くの観光客が訪れている札幌市。その一方で、「宿不足」が深刻です。そんな札幌でこれまでとは異なる形の民泊が注目を集めています。
手掛けるのは、分譲マンションの大手デベロッパーです。

いま「民泊」の利用が急速に伸びています。宿泊回数はここ2年で2倍以上に増加。コロナ禍前を越える勢いです。施設もこの2年で4割以上増加し、2000件を突破。大阪などの「民泊特区」を除けば東京・新宿区に次ぐ全国2位の数です。
民泊に使えるマンションの建設相次ぐ

そんな札幌でいま、「民泊に使えるマンション」の建設が相次いでいます。
日本経済新聞社 高尾泰朗記者:
「民泊施設は既存物件の転用が多く、近隣住民とのトラブルを招きやすい現状があります。そのため管理規約上、転用が難しいマンションも多くなっています。そうした中でも、新築マンションが分譲の段階で『民泊として貸し出せる』と明確に打ち出せば、民泊の供給を増やしながらトラブルの懸念を抑えることができます」

宿泊者と住民のトラブルが起きにくいという民泊対応マンション。札幌で最も多く手がけるのは、大和ハウス工業です。すすきのや大通公園など 街の中心に近いところに、すでに2棟分譲。2025年12月に追加で1棟が完成し、さらに2棟の建設を予定しています。
発売直後に完売!? 2LDKに5人まで宿泊可能

分譲済みのマンション「モンドミオ札幌南三条通」は、全38戸中32戸が民泊利用OK。民泊OKの物件は居住専用の物件とは、フロアを分けてあります。ソファーベッド1つと、ベッドが3つ。2LDKに5人まで宿泊できます。
部屋のオーナーは静岡在住。ゴルフなどを楽しむために、セカンドハウスとして購入しました。

購入者:
「(自分で使うのは)1年間で10回とかそんな感じですかね。(セカンドハウスだと)どれだけ利用ができるかっていうのが常につきまとうのが課題でした。(民泊可)はとても自分にとって都合のいい物件」
住宅を民泊で貸し出せる日数は、法律で年間180日までと限られていますが、セカンドハウスとして使う人にはあまり問題になりません。むしろ滞在しない日に民泊として貸し出した収入で、ローン負担を軽減できるのはメリットになります。

管理会社のR'tm株式会社の相良隆記代表は、稼働状況について「ほぼ180日稼働している」と話します。民泊に使える物件の価格は、例えば2LDKなら6500万円前後。貸し出して収入を得られるメリットから、発売直後に完売したといいます。

販売する大和ハウスにも、民泊対応型にはメリットが。
大和ハウス 北海道支店
マンション営業所 菊岡 俊郎所長:
「建築費も非常に高騰している最中。通常のマンションだと価格が張る。民泊対応型マンションのほうが、強気で価格設定ができます。(札幌は)それが可能なマーケット」
高まるセカンドハウス需要

都市の生活が楽しめて、食や観光資源にも恵まれた札幌はセカンドハウス需要が高まっているといいます。
不動産アナリスト インフォメーション・システム キャビン
志田 真郷代表:
「資産価値が崩れない、長く続く期待ができます。しかも時々、自分で住める。それが魅力として考える人は、かなりいらっしゃる。(セカンドハウスの)選択肢として、説得力を持っていますね」

買い手にも売り手にもメリットが大きく、住民とのトラブルも抑える民泊マンション。大和ハウスの菊岡さんは、「共用部をもっと充実させたり、医療と連携させたりなど、付加価値をつけて(札幌で)マーケットをつくっていきたいです」とセカンドハウスの今後を見据えていました。