
まるで“地下神殿” 階段で7分下った先に…「小学校プール約400杯分の雨水を3時間で排水」 名古屋の街を水害から守る新施設【東海豪雨から25年】

2000年9月に発生した「東海豪雨」。名古屋では1時間97ミリの大雨となり、市内の4割が浸水しました。
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都市型水害として注目されたのは、行き場を失った雨水が街にあふれる内水氾濫です。あれから25年。
名古屋駅からほど近い中川区にことし完成した広川ポンプ所は、この地域の洪水対策の「要」。見た目は3階建ての建物ですが、地下に巨大な構造物が!
(名古屋市上下水道局 西部水処理事務所 小材新一所長)
「雨水を名古屋中央雨水調整池にためて、こちらのポンプ所までもってきて、中川運河に排水する施設」
名古屋駅の周辺では、西区から中川区にかけて地下約50メートルには、全長約5キロの名古屋中央雨水調整池の整備が進んでいて、小学校のプール約400杯もの雨水を貯められます。
この水をくみあげて中川運河に排水するのが、広川ポンプ所です。深さは65メートル。名古屋城天守閣がすっぽり入る程の深さです。
(小材所長)
「名古屋駅周辺は、地下鉄も名古屋高速も通っている。リニア中央新幹線も通る予定。それを避けるために地下深くに雨水の管を入れる必要があった」
プール400杯分の雨水を3時間ほどで排水
今回は特別に、地下一番深くにある施設に案内してもらいました。
施設は地下57メートル。階段で下ると到着するまで約7分かかります。ほの暗い通路の先にあったのは…
(桜沢信司気象予報士)
「すごい、“地下神殿”みたいですね」
名古屋中央雨水調整池で溜まった雨水は、まずここに流れ込みます。
(桜沢)「少し水が溜まっています」
(小材所長)「試運転で水を張ったりしている」
水位が6メートルになると排水が始まります。そして…ゴミを取り除く柵の反対側には、直径1.1メートルの管が3つ。ここから地上に雨水が送られます。
壁を挟んで反対には、排水に使う巨大な設備が!
(小材所長)
「ポンプを動かすエンジンと減速機」
ポンプのエンジン部分は高さ4メートル。これ1機で乗用車21台分の出力があり、雨水調整池に貯められるプール400杯分の水は、3時間ほどで排水できるそうです。
(桜沢)
「名古屋駅付近で降った雨は、このパイプを通って中川運河に排水されるそうです」
「床上浸水を解消するような整備を」
東海豪雨から25年。名古屋市では、97か所の地下に雨水を貯められるようになり、その量は東海豪雨の前の5.5倍になっています。
(小材所長)
「1時間で約100ミリの雨が降っても、床上浸水をおおむね解消するような整備を目指している」
名古屋の地下で人知れず進んだ水害対策。広川ポンプ所の運用は2029年からの予定ですが、想定外の豪雨は相次いでいます。
(小材所長)
「ハザードマップや避難経路を確認して、命を守る行動をしてほしい。“雨水桝”がごみで詰まると、雨水を取り込むことができないので、掃除などで浸水被害軽減の対策をしてほしい」
雨の降り方が確実に変わる中、私たち一人一人も備えを続けていくしかありません。