中日・岡林勇希選手 絶好調のヒミツは「右ひじ」交流戦“優秀選手賞”を受賞したドラゴンズの安打製造機

交流戦を8勝10敗で終えたドラゴンズ。打撃をけん引しているのが入団6年目の岡林勇希外野手です。プロ野球セ・パ交流戦では12球団トップの28安打を放つなど活躍。6月25日、交流戦の優秀選手賞に選ばれたことが発表されました。打率は現在、セ・リーグトップと絶好調ですが、開幕直後はある違和感を抱いていたといいます。

岡林勇希選手:
「引っ張れないというか、逆方向に弱い打球が目立ち始めた」
違和感を生み出していた原因は、右ひじの使い方です。4月の打撃フォームを見てみると、脇が開き、右ひじが体から離れています。その結果、腕が伸びきった状態でのスイングに。開閉するドアの動きに似ているため「ドアスイング」と呼ばれています。

「ドアスイング」ではバットが遠回りするため、速いボールだと振り遅れて、しっかりとボールを捉えられません。強く引っ張るバッティングができるかが調子のバロメーターだという岡林選手、ヒットは出ていたものの、自身のバッティングには納得できていませんでした。
森野コーチのアドバイスがカギに

そんな岡林選手に対して、森野将彦打撃・作戦コーチは「ひじを地面に向けてバッティングすることを心がけて」とアドバイスしたといいます。
森野将彦打撃・作戦コーチ:
「緩い球に対応しようとしすぎて、(右ひじが)上を向いたり、抜きがちだった。窮屈に締めてみないかという話の中で、右ひじを地面に向けてバッティングすることを心がけてほしい、と」

5月に入り、岡林選手は右脇を締めてバットを振るという意識改革に着手。4月のフォームと現在のフォームを比較すると、4月はボールを打つ瞬間に腕が伸びきっているのに対し、現在は脇が開かず、ひじを曲げたままボールを捉えています。
右ひじをうまく体に巻き付けることで、スイングはコンパクトに。バットコントロールがしやすくなったほか、より体幹を使うスイングとなり、ボールに力を乗せやすくなったといいます。

岡林選手:
「すごくいい感じにハマったというか、そういうところを練習で意識していたら、自然と真っすぐを引っ張れるようになったり、引っ張る打球がすごく増えたりしたので、そこがすごく今のいい感じにつながっているのかなと思います」
スイング改革の成果は6月に表れた

森野打撃・作戦コーチ:
「体の近くにひじが入ってくるような感じになるので、それが体の近くで(バットを)捌けるのが、いまできているかな、と。少しずつインコースのさばきや、真っすぐに対する対応力が変わってきたっていうのはあります」
スイング改革の成果が如実に表れたのは6月に入ってから。1日の巨人戦ではエース、戸郷翔征投手の149キロのストレートを引っ張ってライトスタンドへ。広いバンテリンドームで今シーズンの初ホームランを放ちました。

さらに11日の楽天戦では若手のホープ、内(うち)投手の149キロのストレートをライトスタンドへたたきこむなど、6月の月間打率は3割8分5厘と4月終了時と比べて、1割1分もアップしました。また、最近はクリーンアップの一角の3番を任されることも。
森野コーチ「岡林が2人いたら…」、岡林選手「いや、僕は絶対脇役」

森野打撃・作戦コーチ:
「3番にいてもランナーを返すこともできますし、長打も打つので、そこも岡林の魅力だと思います。でも1番で出て盗塁して帰ってくるのは、本当は岡林の役目。岡林が2人いたらいいんですけどね(笑)」

岡林選手:
「いや、僕自身はもう絶対脇役なんで、塁に出て、クリーンアップに回すのは自分の仕事なんで。あと、打点は稼いでヒーローになってくれる人がいっぱいいるので、脇役は脇役らしく頑張ろうかなと思います」
本人は脇役というものの、井上監督から「岡林なくしてドラゴンズはない」と言わしめるほどに成長した23歳のバットが、セ・パ交流戦のあとも打線を引っ張ります。