安福久美子容疑者の似顔絵「申し訳ないが全く似ていなかった…」 名古屋・西区の主婦殺害事件 海外では“DNA”から似顔絵作成する研究も

26年間、未解決のままだった事件は10月31日に急展開。
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(愛知警察の会見 10月31日)
「発生から26年のときを経て、被疑者を殺人罪で通常逮捕いたしました。安福久美子69歳」
逮捕の決め手は現場に残された血痕と、安福容疑者から採取したDNA型が一致したことでした。
奈美子さんの夫・悟さんは事件から26年間、現場の部屋を借り続けてきました。部屋の玄関には、容疑者の血痕が残されていました。
(奈美子さんの夫・悟さん)
「プロファイラーの先生いわく、靴の跡があっち向いたりこっち向いたりしている。外をうかがったら人がいるとかで『どうしようどうしよう』となり、逃げるタイミングを失いこんな形で残ったのだろうと。警察に聞いたら玄関の外に人がいたんじゃないかと。出るタイミングを待って血が落ちた」
(大石邦彦アンカーマン)
「血液型とDNA型、これを残していたということですね」
偶然残った“犯人の血”
玄関から続く廊下には血の跡が付いていてすべて拭き取りましたが、悟さんは玄関の血痕は偶然残していました。
(大石)
「拭き取らなくてよかったですね」
(悟さん)
「ほんと偶然ですよ。これだけは水で流してブラシで取らないといけないと思ったので、退去するときにやるしかないなと思って。残しておいてよかった」
2009年に愛知県蟹江町で起きた一家3人殺傷事件でも、犯人の男を事件発生から3年7か月後に逮捕。半日以上も現場にとどまり、残した衣類などから検出されたDNAが逮捕の決め手になりました。
どれほど技術が進んでも…DNA鑑定だけでは解決しない
警察の捜査を支える科学の力がDNA鑑定です。DNA鑑定の精度はどの程度のものなのでしょうか。
(法科学研究センター 雨宮正欣所長)
「(一致するのは)地球上に1人の確率ですから、“偶然一致したとは言えないですよ”という考え方」
非常に高い精度で特定が可能だといいます。しかし、どれほど鑑定技術が進んでも、それだけでは事件は解決しないと雨宮さんは指摘します。
(雨宮所長)
「容疑者との比較がDNA鑑定のメイン。比較できる人数まで絞り込めたのは“捜査の力”だと思う」
地道な聞き込みや操作によって、ある程度の人数まで絞り込めたからこそ、DNA鑑定が最終的な決め手として機能したと雨宮さんはいいます。
海外ではDNA情報から犯人の似顔絵を作る研究も…
日本では現在、現場の遺留物と「比較対象」となる人物のDNA型が一致するかについてのみ捜査で使われています。
一方海外では、DNAから犯人の似顔絵を作るような技術も研究されています。
(雨宮所長)
「瞳の色や髪の毛の質がこうだとか、そういうのは全部データベースによるもの。データベースがきちんとできていればそれだけ精度が上がる。(日本では)データベースがない以上それができない」
日本人の顔の形や瞳の色、髪の毛の質を再現しようとしても、データの積み重ねがない今の日本では、すぐに実現することは厳しいといいます。
(雨宮所長)
「えん罪を逆に生む可能性もあり、その部分は非常に慎重にならざるを得ない」
似顔絵は…「申し訳ないですけれど全く似ていない」
そもそも、似顔絵捜査が間違った方向に捜査を誘導してしまう懸念もあると言います。
高校時代の卒業アルバムの安福容疑者。そして、2020年に愛知県警が公開した似顔絵。ほうれい線など顔の特徴をつかんで描かれていますが、悟さんは、似顔絵から安福容疑者の名前は頭に浮かばなかったと話します。
(悟さん)
Q.公開されていた似顔絵と容疑者は似ていた?
「申し訳ないですけれど全く似ていない」
26年間妻を殺害した容疑者を探し続けた高羽さんは、事件の捜査でDNA情報を使えるよう法整備が必要だと訴えています。
(悟さん)
「科学に法律が寄ってくれないと。今回、逆に言うとすごくいい事例になったと思う。解決はしたけど遺伝子情報を使った似顔絵とかがあれば、もっと早い段階で捕まったんじゃないか。もっと早い段階で追い詰められれば自首(出頭)した可能性もあったので」





