
買いやすい“空間づくり”に工夫…新品の半額前後で人気の『中古絵本専門店』子供を意識し1冊ずつ丁寧に再生


本を読むだけでなく“出会いを楽しむ場所”として人気の「こども古本店」は、中古絵本を一冊ずつ丁寧に再生し、親子で楽しめるイベントも開催しています。絵本を通じて、思いやりやぬくもりを次世代へ伝えています。
■本屋不況の中でも健闘…心を育む“中古絵本の専門店”
北名古屋市にある「こども古本店」は、しかけ絵本をはじめ、可愛らしい絵本など約1万冊以上が並ぶ“中古絵本専門店”です。

店は4年前にオープンしましたが、全国的に書店の数が減少し、業界全体が厳しい時代、取材当日も来店客は決して多いとはいえませんでした。本当にやっていけるのだろうかと感じましたが、代表によると、年間で約6万〜12万冊を販売しているといいます。

人気の理由を探るうちに、店づくりに込められた工夫が見えてきました。休日には店頭にキッチンカーが並び、家族連れなどでにぎわいます。他にもマルシェや読み聞かせライブなどのイベントも開催。グルメや買い物も兼ねて、“絵本を買う空間づくり”をしています。 こども古本店の代表: 「テーマパークに遊びに来たように、ワクワクした気持ちでいろんな絵本との出会いを楽しんでほしい」

店内には、子供が“運転手気分”で読書を楽しめるスペースや、アウトレット絵本を並べたワゴンもあり、まさに親子で過ごせるテーマパークのようです。また、入場料は無料。持ち込み可能なスペースや授乳室、ミルク用ポットなども備え、小さな子供を連れた家族でも安心して過ごせる環境が整っています。公共施設のような親しみやすさが支持を集め、売上にもつながっています。
■ 自然由来の素材で一冊ずつ丁寧にクリーニング
一方で、中古の絵本と聞いて衛生面を気にする人も少なくありません。しかし、実はそこにこそ“中古絵本の専門店”としての強みがあります。 代表: 「職人による手仕事のクリーニング。自然由来の安心な素材を使って一冊一冊クリーニングをしています」

例えば口に入っても安全な米ぬか成分のクリーナーを使い、隅々まで丁寧に汚れを拭き取ります。そして、破れたページは和紙の補修テープで自然に仕上げています。 さらに、専用の消毒マシンで殺菌処理を徹底。全国から買取や寄付で届く数万冊の本を、安全な状態にして販売しています。

こうしてよみがえった本は、新品の半額前後で販売されます。店頭だけでなくオンラインでも取り扱っており、「中古でも品質が高く価格も手頃」と評判が広がり、現在では、個人客に加え全国の保育施設からも注文が入り、年間6万冊を超える絵本が売れるまでになりました。 代表: 「絵本には前の持ち主の思い出がある。思い出が受け継がれていくリサイクル絵本を楽しむ中で、思いやりやものを大切にする心を感じてもらえたらうれしい」

絵本を通じて、思い出と優しさが次の世代へ受け継がれています。 2025年9月26日放送