「日本の心、ジャパンプライドを世界に発信」トヨタの豊田会長がセンチュリーにかける思い

国内最大の自動車の祭典、ジャパンモビリティショーが、10月30日の開幕を前に報道公開されました。トヨタは「センチュリー」ブランドの立ち上げを宣言しました。今後、日本の最高級ブランドとして、世界のトップを目指します。
報道公開されたジャパンモビリティショーでトヨタ自動車が披露したのは、新しいブランド「センチュリー」のコンセプトカーです。センチュリーはこれまで、販売価格が2000万円を超えるトヨタブランドの最高級車でしたが、今回、最高級の「ブランド」として独立。従来のボディのタイプはセダンとSUVの2種類でしたが、29日披露されたのは“クーペタイプ”でした。

豊田章男会長は、センチュリーがトヨタグループの創始者豊田佐吉氏の生誕100年を記念して発売されたことから、今回のブランド化を「次の100年をつくる挑戦」と位置づけました。
トヨタ自動車 豊田章男会長:
「センチュリーは、トヨタ自動車のブランドの1つではありません。日本の心。ジャパンプライドを世界に発信していく。そんなブランドに育てていきたい」
センチュリーは「最新の技術」と「日本の伝統」の融合

センチュリーは、「最新の技術」と「日本の伝統」の融合というテーマにこだわってつくられてきました。今回公開されたコンセプトカーにもそのエッセンスが盛り込まれています。たとえばボディカラー。鮮やかなオレンジ色ですが、こちらは日本の伝統色の緋色が採用されています。まだ試作車段階のため、どんな車に仕上がるのか未定です。
このコンセプトカーから読み取れることについて、自動車評論家の国沢光宏さんに話を聞きました。
「ロールス・ロイス」や「ベントレー」に挑む

――センチュリーのコンセプトカーを見た印象はいかがでしたか。
自動車評論家 国沢光宏さん:
「ロールスロイスやベントレーなど、世界で一番高級とされている車がありますよね。それと真正面から戦うべくつくられた車です。今までのセンチュリーはセダンとSUVでした。ロールスロイスやベントレーには、このコンセプトカーのような高級な2ドアがあるんですよ。それをセンチュリーのシリーズとしてやっていこう、ということですね」
――これまでの販売価格は2000万円ほどでしたが、ブランド化したあとの販売価格はいくらになりそうでしょうか。
「どんなに下を見ても5000万円。おそらく7000万円が普通ぐらいの価格帯なので、それくらいはすると思います」

――“量産車のトヨタ”から、より1つひとつを高価な商品としてつくっていくようになる。その勝算については、国沢さんはどのように見ていますか。
自動車評論家 国沢さん:
「トヨタはトヨタで、しっかりと安い車をつくりましょう、と。ダイハツのように、もっと安い車もあります。ただ、やっぱり上(高い車)もつくりたいじゃないですか。車屋さんだったら、ロールスロイスに勝てる車をつくりたい。そうした夢が、今回のコンセプトカーにしっかりと入っています。
しかも、ロールスロイスはクーペの場合、お客さんと自分が乗る車になります。ですが、トヨタが手掛けたこのセンチュリーは、運転士さんが運転して、乗る人がいる。本当の主役は1人なんです。世界では初めてのコンセプトなので、それも素晴らしいですね」
センチュリーに海外メディアからは好評「非常に高価で素晴らしい車」

ジャパンモビリティショーのセンチュリーのブースには、海外メディアの姿も多く見られました。海外メディアは新ブランド「センチュリー」について、どのように受け止めたのでしょうか。番組では「市場での競争性」「成長性」「期待度」の3つの項目をそれぞれ10点満点で採点してもらいました。

オランダから訪れたメディア関係者は、成長性を6点、市場での競争性を8点、期待度を10点の合計24点としました。
オランダのメディア関係者:
「この種の車の市場は小さく、非常に高価で素晴らしい車です。トヨタ自動車は世界中に巨大な影響力を持っているため、私に言わせれば、彼らは大きな市場優位性を持っていると言えるでしょう」

アメリカから訪れたメディア関係者は、成長性を6点、市場での競争性を6点、期待度を10点の合計22点としました。
アメリカのメディア関係者:
「他の国ではセンチュリーを見たことがないので、少なくともその製品にアクセスできることに興奮している。トヨタは高級素材と職人技に対して非常に高いレベルがある。だから、レクサスよりも目立つ中心的な存在となることに興味がある」

一方、メキシコのメディア関係者の合計点は30点。期待度の項目は、10点満点を超える12点でした。

メキシコのメディア関係者:
「とてもいいですね。ラグジュアリーの視点を持つ自分にとって、未来への大胆な展望だ。とても気に入った」
取材した海外メディアのほとんどが、好印象を示していました。





